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第225回 ROISIN DUBH "Same Title"

ROISIN DUBH - "Same Title"
1978 ITALY CETRA LPX64
(Folk Rock)

RARE:★★★★★★★★

Member :

Kay McCarthy(vo), Barbara Barbatelli(violin,mandolin),
Luciano Gaetani(banjo,whistle,g),
Marco Mazzella(mandolin,b), Marco Alonzo(violin),
Cochi Quarta(g,fluto), Francesco Santoro(g),
Antonio Shorthose(mandolin,banjo,whistle)


Side (A)
1. Bill Hart's Favorite
2. Siuil A Ghra
3. Banish Misfortune
4. She Moved Through The Fair
5. Polkas


Side (B)
1. The Weavers
2. The Bold Fenian Men
3. In Kirkintilloch
4. Only Our Rivers
5. Eiblin A Run
6. Dingle Regatta


イタリアからのみリリースされたアイリッシュ・フォークの名作です。

ケイ・マッカーシーというアイリッシュ・フォーク界きってのフィメール・ヴォーカリストを擁するグループで、おそらく唯一の アルバム。グループ名はロイシン・ダーブと発音するそうですが、英語でいうと『BLACK ROSE』です。

『アイリッシュ・フォーク』というと、映画『タイタニック』の1シーンのようなギネス片手にスタンディングで飲んでいるようなパブ(まあ所謂アイリッシュ・パブ)で、あの床を踏み鳴らして踊るダンス(まあ所謂アイリッシュ・ダンス)で盛り上がっている光景を思い浮かべて頂ければまず間違いはないのですが、この作品はイタリアから出ているせいか、もっとしっとりとした仕上がりとなっています。

特にケイ・マッカーシーの隔世の歌声が響き渡る瞬間はこの世のものとは思えない美しさに満ちています。ダンス系(ヒップ・ホップではあり ません)の曲も収録されていますが、しっとりした天上の響きの曲とのバランスもなかなか良いと思います。

にぎやかこの上ないA-1に続くA-2は出だしの彼女のヴォイスが現れた瞬間に、一体ここはどこだろう?と思う位、気が動転してしまいます。 それ程美しいのです。一体何を食べたらこんな声が出せるのだろうと下世話なことばかり考えてしまいますが、それにしても美し過ぎる、 我々のようなこういう曲が大好きな人間にとってはまさに宝石のような曲なのです。

当時は恐らくアイリッシュ・パブでもこういう曲をやっていたのでしょうが、酔っている連中の前でこういう曲を演った時の反応ってどうだったん でしょうか。

それって例えば、カラオケボックスでみんなが洋楽で盛り上がっている時に一人だけ『なごり雪』を歌うヤツがいた時みたいな雰囲気になるん ですかね。でもあれ、困りますよね。しかもその人が主賓だったりするともっと困ります。

レインボウの『キル・ザ・キング』の次に『なごり雪』が入っていると、レインボウの人も困ってしまいます。あ、でも『なごり雪』がきらいな わけではありませんので、念のため・・。

ケイ・マッカーシーは、ソロでなんか出してくれないかな、なんてこのアルバム聴くと思うんですが、実は出ているんですねえ。そのソロは もしかしたらこのアルバムよりも良いかも知れません。またいずれそちらも紹介したいと思います。


(2006.7.20)