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第221回 ITZIAR "Same Title"

ITZIAR - "Same Title"
1978 BASQUE XOXOA BI-1051
(Folk Rock)

RARE:★★★★★★★★

Member :

Itziar Egileor(vo), Javi Robador(ds), Alex Zabala(g,vo),
Eduardo Bazterra(b,vo), Mikel Prieto(g,key),

Joseba Erkiaga(flute,sax)


Side (A)
1. Ameskel
2. Espetxeratuarena
3. Manifestu Atzeratua
4. Harri Eta Herri


Side (B)
1. Gauaren Iratsoa
2. Mendigoixalearena
3. Haizearen Gogoa
4. Beartsu Fameliak?
5. Agur Mikel


スペインはバスクを代表するフィメール・シンガーです。
アルバムタイトルの『イツィアール』(ITZIAR)とは彼女の名前です。

同じバスクのアルバムではイトイズITOIZ)の1stが有名ですが、イツィアールはそのイトイズの2ndアルバムに参加しており、特にB面の一曲目ではこの世のものとは思えない美しい歌声を披露しています。

ここで紹介するこのアルバムは彼女の唯一のソロ・アルバムで、イトイズ程のプログレ色はないものの、単なるフィメール・シンガーの作品には終わっていない、不思議な魅力のアルバムです。
リズム・セクションが意外なほどきっちり入っている割にはロック色がそれほど強くないのです。

アルバム全体としての曲調には統一感、整合感はなく、結構色んなことを やっているので、厳しい目でみればややとっちらかった印象はありますが、全体を支配しているのはジャケットアートに象徴される、闇夜の美とでも いうのでしょうか、白昼の夢とでもいうのでしょうか、独特の不思議な 雰囲気で、他では味わえないものがあります。

なんとなくいろんな曲が展開していて油断しているうちに少しずつ彼女の真骨頂の世界に引きずりこまれている、みたいな感じで、気が付くと ゆったりした子守唄のような歌声で、眠りに落ちてしまう人も多いんじゃないでしょうか。私なんかこの真綿で首を絞められているようなスリーパーホールドで何回失神KOされたことか。

歌詞がまったく理解できないバスク語であるというのも失神に一役買っています。
くだらん会議で何を言っているかよくわからないへたくそな説明を聞いていると『紙に書いてある事をいちいち読むなよ!』とか『ポイントだけ説明しろよ』と言いたくなるのを我慢して話を聞いているうちに、気が付けば寝ていた、そんな感じでしょうか。(具体的すぎましたか?)

また、先に『リズムがちゃんと入っている割にロック色がない』と申し上げましたが、叩いているドラムスの人でさえも、彼女の歌声を聴いてウトウトしているのではないか、っていうのが大方の予想です。
なんだか ドラムスも『とろとろ』しているような気配なのです。

時折入るフルートも実にいい感じなのですが、それにしても、女性ヴォーカルとフルートというのは本当に相性がいいですね。バスク、ウェールズのフィメール・フォークの必勝リレーは大体このパターンです。

このバスク地方の孤高の美しさを持つフィメール・フォークを是非堪能して頂きたいと思います。


(2006.6.10)