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第217回 NIGHT SUN "Mournin'"

NIGHT SUN - "Mournin'"
1972 GERMANY ZEBRA 2949 004
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★★

Member :

Bruno Schaab(vo,b), Walter Kirchgassner(g),
Knut Rossler(key,trumpet,bassoon), Ulrich Staudt(ds)


Side (A)
1. Plastic Shotgun
2. Crazy Woman
3. Got A Bone Of My Own
4. Slush Pan Man


Side (B)
1. Living With The Dying
2. Come Down
3. Blind
4. Nightmare
5. Don't Start Flying


とかくどろどろしたサウンドの多いジャーマン・ハード・ロックの中でも、フランピーFRUMPY)、ギフトGIFT)、オレンジ・ピールORANGE PEEL)等オルガンを前面に出した良質なハード・ロック・グループがドイツには数多く存在します。そのなんとも言えない独特のドライブ感は、我々ハード・ロック・ファンには見落とすことのできないもので、この辺を聴いたことがない貴兄はこの機会に改めた方が良いと思います。

ここで紹介するナイト・サンNIGHT SUN)というグループは上述したグループたちとは更に一線を画しており、ハードというよりむしろヘヴィといった方が良いのかも知れませんが、とにかく他の追随を 許さないヘヴィネスです。

そのヘヴィさたるや、タイプこそ違えヘタしたらイギリスのハイ・タイドHIGH TIDE)すら凌ぐのではないかというくらいのもので、ブラック・サバスBLACK SABBATH)と ジューダス・プリーストJUDAS PRIEST)が連名で命乞いしてもいい程の凄さ。

A-1から、全面ガラス張りの高層ビルの窓ガラスを一斉に鉄球で壊した現場にいるようなやかましさで、気を許せるのはイントロでのギターが ブレイクする瞬間のみです。ここを逃すともう暫くトイレはありませんからね、みなさん、って観光バスよろしく、暫くはやかましさと音の洪水。

そして一瞬音がとぎれたかと思うと、半獣(一応残り半分は人間)のような雄たけびのごときヴォーカルのシャウト。なんというおぞましさ。 この暗黒感はイギリスのエルサレムJERUSALEM)に相通ずるものがあります。

そこから先は怖いだけの恐怖映画を無理矢理みているような恐ろしさでドイツという国は本当に加減を知らない国だと痛感します。

更にB-1がまた凄くて、怖いのなんのって。ツェッペリンの『ハート・ブレイカー』が泣きやまなくなるようなヘヴィネスで、ギターのリフは殺戮的ですらあります。

そして一転してB-2は極上バラッド。ようやく半獣も人間の心を戻したかなんて油断していると、間奏は急にえらいヘヴィになり、話が違うじゃないかってクーリングオフしたくなります。

この曲以降はラストまで全部ヘヴィ。トイレ休憩なんか全くなしです。聴き終えた後はホイス桜庭戦くらいぐったりです。

世界ヘヴィ・ロック・フェスティバルみたいなのがあったら、多分決勝戦はハイ・タイドの1stとこのナイト・サンの一騎打ちになるのではないかというのが私の予想です。

それから、そんな人いないと思いますが、スピーカー・セットをとばして壊したい方がいたら、是非このアルバムを使って頂くことをお薦めします。 A面1曲目でスピーカーも聴いてる人も合わせてぶっとびです。

(2006.4.30)