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第180回 CIRKUS "One"

CIRKUS - "One"
1971 UK RCB 1
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★★★

Member : 

Dog(g), Stu McDade(ds,vo), Derek G.Miller(key,mellotron),
John Taylor(b), Paul Robson(vo)


Side (A)
1. You Are
2. Seasons
3. April '73
4. Song For Tavish
5. A Prayer


Side (B)
1. Brotherly Love
2. Those Were The Days
3. Jenny
4. Title Track
I. Breath
II. Ad Infinitum


自主制作ながら、メジャー系プログレの並みいる名盤を凌駕するとんでもない水準の作品です。今でこそ再発で普通に耳にすることができるようになり、広くその名を知られることになりましたが、昔はプログレのマニア垂涎のコレクターズアイテムとして有名な一枚でした。

『幻の名盤』と言われると、手に入れるまでの間どんどん想像が膨らんでしまい、頭の中でとてつもない名盤に仕上がっていて、いざ音を聴いてみると「これのどこが幻の名盤・・?」とがっくりすることがよくある のですが、この作品だけはそういう心配は全くいりません。まだ手に入れていない方はどんどん想像を膨らませて頂いて結構です。それくらい私はこのアルバムに自信をもっています。

プログレとは言ってもややポップ色が強いところが意見の分かれるところかも知れませんが、全面にわたって大々的にフィーチャーされたストリングスの嵐とメロトロンの床上浸水が完全にプログレのフィールド のものだと思います。

これ一枚で消えた謎のグループのクセに演奏水準はすこぶる高く、激しい曲ではA級ハードロックグループ並みのキレとコクで迫り、静かなバラッドはイトイズITOIZ)も真っ青というくらいの甘酸っぱさ。

そしてなんと言ってもこのグループのすごいところは、その極上のメロディラインにあります。ここまで出来の良い曲を惜しげなく並べている作品というのは滅多にお目にかかれるものではなく、かのサンド ローズSANDROSE)さえも土下座して謝るんじゃないかというくらいの内容です。

激しい曲も単に激しいだけではなく涙腺にせまる何かを秘めています。そして静かなバラッドはさらに涙腺直撃で、特に素晴らしいのがB-3でこれは涙腺どころか鼻水必至。音を聴くことのできる哺乳類全員に聴いて もらいたい世界トップクラスの名曲です。

ヴォーカルがオーバーダブでかぶせてあるのですが、2つめのオーバーダブのところなんか涙と鼻水で息ができなくなります。だまされたと思ってこの曲だけでも一度聴いてみて下さい。こんなすごい曲を収録した アルバムが自主制作なんですから本当にブリティッシュ・ロックというのは奥の深い世界です。

ジャケはそんな美しい内容とは想像もつかないようなデザインになっていて、オリジナルはジョン・レノンの1stのようにアレが写っていることでも有名です。再発ではソレが写っていないのが残念です(?)。


(2005.03.30)