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第171回 PINK FLOYD "The Wall"

PINK FLOYD - "The Wall"
1979 UK HARVEST SHDW411
(Progressive Rock)

RARE:

Member : 

Roger Waters(b,vo), Richard Wright(key,vo),
Dave Gilmour(g,vo), Nick Mason(ds)


Side (A)
1. In The Flesh?
2. The Thin Ice
3. Another Brick In The Wall (Part I)
4. The Happiest Days Of Our Lives
5. Another Brick In The Wall (Part II)
6. Mother

Side (B)
1. Goodbye Blue Sky
2. Empty Spaces
3. Young Lust
4. One Of My Turns
5. Don't Leave Me Now
6. Another Brick In The Wall (Part III)
7. Goodbye Cruel World


Side (C)
1. Hey You
2.
In There Anybody Out There?
3. Nobody Home
4. Vera
5. Bring The Boys Back Home
6. Comfortably Numb

Side (D)
1. The Show Must Go On
2. In The Flesh
3. Run Like Hell
4. Waiting For The Worms
5. Stop
6. The Trial
7. Outside The Wall


日本中いや世界中に熱狂的なファンが数多く存在するプログレッシヴ・ロックの巨人。
どのアルバムをとってもそれぞれに凄さがあるというとてつもない存在で、おそらく今の若い人たちにだって十分影響を与えることのできるグループではないでしょうか。

一般的には「Dark Side Of The Moon」(狂気)が最高傑作と言われており、そのサウンドを知らなくとも、アルバム・ジャケットのデザインは見たことがある、という人は結構いるはずです。
(黒いバックにプリズムが映っているジャケです)
狂気」の他には「Atom Heart Mother」(原子心母)が邦題の凄さもあって有名で、こちらも牛の後ろ姿のジャケットをご存知の方も多いはず。

ここで紹介する「The Wall」というアルバムは彼らの活動の中でも後期の作品で、その名の通り白い壁に包まれただけというシンプルなジャケットで79年に発売されました。

2枚組みという大作ながら、濃縮還元100%の果物が飛び散るようなみずみずしさの「In The Flesh?」から始まって、暗闇と青空、内省と発散、優しさと狂気がこれでもかとばかりにめくるめく今まで経験したことのないような音世界が繰り広げられます。

小さい頃に「不思議の国のアリス」を読んだときに感じた神秘性や終わった後に不思議な余韻の残る宮崎峻氏の作品あたりと一種相通ずるものを感じます。
絶対に表面だけでとらえてはいけない見本のようなアルバムで、サウンド自体が骨伝導ならぬ心伝導といった感じで心の奥深くにまで入り込んでくるので、一度この味を知ってしまうと抜け出せなくなるパンドラの箱的世界です。

特にどの曲がどうだとかいうこと自体があまり意味をなさない作品なのですが、「Another Brick In The Wall」という曲はシングルカットされてかなりヒットし、またビデオクリップまで作られてMTVでも流れていたので結構知っている人は多いと思います。しかしながらこの曲に関しては絶対にこれ1曲を単品で聴いて欲しくないです。
この巨大な作品の中のほんの一幕であり、あくまでもアルバムの流れの中で登場する曲なので、絶対にアルバムとして聴いて欲しいと思います。

2枚組みという大作で音楽的な表現方法云々を超越したところにあるからこそ、不朽の作品として多くの人に長く語り継がれているのでしょう。
2枚組みのトータルコンセプトでこの領域に達している作品は私の知る限りでは、このアルバムとザ・フーの「トミー」(Tommy)の2枚だけです。(盤の数で言えば4枚ですが。)


(2004.12.20)