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第166回 MAINHORSE "Same Title"

MAINHORSE - "Same Title"
1971 UK POLYDOR 2383 049
(Progressive Rock)

RARE:★★★

Member : 

Patrick Moraz(key,vo), Peter Lockett(g,vo),
Jean Ristori(b,vo), Bryson Graham(ds)


Side (A)
1. Introduction
2. Passing Years
3. Such A Beautiful Days
4. Pale Sky


Side (B)
1. Basia
2. More Tea Vicar

3. God


アメリカの売れないハード・ロックのようなジャケットが購買意欲を 幻滅させてくれて、だいぶ損をしているんじゃないかと思いますが、内容は相当なもんなんです。

このアルバムが唯一の作品ということもあり、バンドとしてのまとまりに欠ける分、メンバーそれぞれの自己主張が火花を散らし、非常に アグレッシヴな仕上がりで、A-1出だしの一音を聴いた瞬間にアルバム 全体の音が想像できてしまうような、オルガンロックファン(死語か?) 悶絶必至の力作です。

ロビン・トロワーRobin Trower)が在籍していた頃のプロコル・ハルムPROCOL HARUM)のように、異色の音同士のぶつかりあいというのは 下手をすると違和感だらけのアルバムになる危険性もある反面、それが かえって新鮮な味付けとなって不思議な魅力をかもしだす場合もあり、このアルバムに関していえば後者だと思います。

後にイエスに加入する血気盛んな頃のパトリック・モラッツが在籍して いたグループとしても有名なのですが、このパトリック・モラッツの オルガンというのはちょっと聴いた感じでは、アードバークAARDVARK) ばりのハード一辺倒な感じなのかと思いきや、相当クラシックの素養が あるようで、リッチーのギターが深いように、とても懐の深いオルガン マンだと思います。(「オルガンマン」という言い方があるのかどうかは 知りませんが、「ピアノマン」に対抗してみました・・・)

曲自体もよく練られていて、聴くタイミングによってはメロディがずっと 頭を離れなくなる、そんな楽曲がちりばめられています。とはいってもやはり一番の聴き所は極太の毛筆で腕まくりをして書初めを しているかのようなオルガンとハード系のギターがぶつかりあいで、 いわばヘビとマングースの激突といった様相です。

そして、聴く前にはダサくみえていたジャケットが、レコードを聴く うちにだんだん迫力のある絵に見えてきて、片付けるときには ジャケットの馬が今にも飛び出してきそうな気さえしてきます。

モラッツはこの後ナイスNICE)の残党とリフュジーREFUGEE)を結成し、 そちらも名盤ですが、まずはこのメインホースから聴いて欲しいなと 思います。特にハード系の人には。

(2004.10.30)