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第165回 PENTANGLE "Basket Of Light"

PENTANGLE - "Basket Of Light"
1969 UK TRANSATLANTIC TRA205
(Folk Rock)

RARE:★★

Member : 

Terry Cox(ds), Bert Jansch(g,vo), Jacqui Mcshee(vo),
John Renbourne(g,vo), Danny Thompson(b)


Side (A)
1. Light Flight
2. Once I Had A Sweetheart
3. Springtime Promises
4. Lyke-Wake Dirge
5. Train Song


Side (B)
1. Hunting Song
2. Sally Go Round The Roses

3. The Cuckoo
4. House Carpenter


今でこそ普通にブリティッシュ・フォークを聴いている私も、血気盛んな学生の頃にはこういう音楽を全く受け入れることができませんでした。

この手の音楽を聴く身体になるまではそれはそれは長い道のりで、今日はまず簡単にその足跡からご紹介しましょう。(聞きたくない方、先に行ってください。)まず、YMOテクノポリスから始まって、ホール&オーツレインボウレッド・ ツェッペリンザ・フーブルー・チアーハンブル・パイプロコル・ハルムスリー・マン・アーミーバンコ・デルムッツオ・ソッコールソ、そしてようやくペンタングル登場という感じで、この道のりを通過するのに約20年の歳月を 要したのでした。しかもリアルタイムなのはYMOホール&オーツだけなのに、なんと偉そうにしていることでしょう。(ちょっと反省。)

さて最初から飛ばしてしまいましたが、そんな道のりを経てペンタングルにたどりついた頃には学生であろうはずもなく、すっかりいいお兄さん(おじさん?)になってしまっていました。

年をとるにつれ脂ぎった食べ物よりもあっさりしたものを好むようになるように、ハードロックファンが晩年(失礼な!)フォークに走るのとは年齢がシンクロナイズするのではないかと思いだした今日この頃ですが、やっぱり この年(まだヒミツですが)くらいになってくると、からすみと日本酒でペンタングルとしゃれこんでみたりするのが良かったりするんですよね。

初めてペンタングルを聴いたときは、その不思議な感覚とウッド・ベースの響きに、「これはまるでポリスの"見つめていたい"だな。」と思いっきりピンはずれな印象を持ったものですが(バケツ持って廊下ですね)、夢うつつのような ヴォーカルが出てくると、自分のそれまでの視野の狭さを恥じ入るとともに、今までこういう音楽を聴いてこなかったことを本当に悔しく思ったものでした。

特にこのアルバムのA-1の瑞々しさは筆舌に尽くしがたい魅力に満ち溢れていて、水分たっぷり、とれたて・もぎたてフルーツという感じで、こんなのが30年以上たった今も当時のフレッシュさをそのままに耳にすることができると思うと、 改めてレコードというものの素晴らしさを感じずにはいられません。

アルバム全体としてはバラエティに富んでいて、賛美歌あり/東洋調ありといった感じで結構幅広く展開します。

ペンタングルの音楽は、カテゴリーとしてはブリティッシュ・フォークということに分類されるのでしょうが、フォークといわれて一般の人々が連想するものとは全く別物のような気がします。

彼らはこの後、最高傑作といわれる「クルエル・シスター」をリリースするのですが、そっちはもっと自分達の世界を追求したような内容になっていて、それがまたいい感じでまろやかさを醸し出しており、昼寝には持って来い。

バスケット・オブ・ライト』が朝の雫なら、『クルエル・シスター』は食後のうたた寝、夜は『ソロモンズ・シール』で消灯するというのが私の理想の生き方(?)です。

(2004.10.20)