BACK TO HOME

第155回 REALE ACCADEMIA DI MUSICA "Same Title"

REALE ACCADEMIA DI MUSICA - "Same Title"
1972 ITALY RICORDI SMRL6105
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★

Member : 

Federico Troiani(key,vo), Nicola Agrini(g),
Pierfranco Pavore(b), Roberto Senzasono(ds),
Henryk Topel Cabanes(vo), Pericle Sponzilli(g)


Side (A)
1. Favola
2. Il Mattino
3. Ognuno Sa


Side (B)
1. Padre
2. Lavoro In Citta'

3. Vertigine


ここで紹介するアルバムは「リアーレ・アカデミア・デ・ムジカ」唯一の 作品。

しかし「リアーレ・アカデミア・デ・ムジカ」とは奥ゆかしい グループ名ですよね。名前だけでプログレファンが反応しそうです。音を聴く前からアメリカの「ジー・ジー・トップ」(ちなみにこれ卑猥な 意味らしいです)なんて名前の人たちとは明らかに人種が違うな、と思ってしまいます。

A-1に針を下ろした瞬間に広がる瑞々しいギターの調べ・・。「こっこっ これが本当にイタリアのプログレか?」と一瞬耳を疑いますが、だんだんと「あ、やっぱイタリアだわ。」って展開になってきます。

それにしてもこのA-1の瑞々しさは尋常ではありません。 南アルプスの天然水のような涼やかな透明感が素晴らしく、ホールズのコマーシャルなんかに使ったらいいんじゃないかと思ってしまいます。それに輪をかけてヴォーカルがまた涼やかで、真夏の暑い夜に時々 「すうっ」と窓から入ってくる風(所謂「いい風」ってやつです)の ようで、夏の早朝にアサガオに水でもやりながら聴くには最高の一曲。

しかしレコードというのは凄いもので、30年前のものが今聴いても その時の新鮮さのままで私たちに感銘を与えてくれるというのはある種 感動的でもあります。

そしてA-2。 これは凄いです。 イタリアンプログレのキーボードナンバー中でも最高の部類に属する曲で、クレシダの「ミュンヘン」をも凌ぐ内容。イントロのピアノだけで ただごとではないことがわかります。 天空まで駆け上るようなヴォーカルがエコーとピアノがユニゾンで上り 詰めるという、およそロック系の人には今まで経験したことがないような 世界が貴方を待っています。

ゆったりとした大河の流れのような前半部分からだんだんと曲は盛り上が っていき、リズムセクションとピアノの激しいインタープレイの中間部に 突入します。この中間部がこれまた素晴らしく、明訓高校の殿馬ですら 命乞いをするんじゃないかというくらい華麗なピアノプレイが圧巻です。

そして激しい中間部からまた突然、前半部分のリフレインに戻る、この へんの変わり身の早さはまさにイタリアンロックのお家芸ではないでしょうか。 さっきまで激しくやっていたとは思えない、まるでリングをおりた エメリヤ・エンコ・ヒョードルの涼しい顔のような転調が、 ハマった人にはたまらないかっこよさです。

今でこそこんなアルバムが日本でもCDで手に入るような時代になって きましたが、日本人が発掘した80年代当時はイタリアの中古レコード店の 店長ですらその存在を知らなかったらしいですから、初めてこれを耳に してこんな音が出てきたらさぞかしビックリしたでしょうね〜。


(2004.06.30)