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第152回 GOOD RATS "Same Title"

GOOD RATS - "Same Title"
1968 US KAPP KS3580
(Hard Rock)

RARE:★★★★

Member : 



Side (A)
1. We Are The Good Rats
2. Joey Ferrarri
3. For The Sake Of Anyone
4. Anybody Got The Time
5. My Back Is Achin' (And My Mind Is No Better)


Side (B)
1. The Hobo
2. If You Stay By Me

3. Gotta Get Back
4. The Truth Is Gone
5. Family Portrait



グッド・ラッツというグループ名はグッドラックとかけたのか(絶対違う)随分ふざけてきこえますが、それでも熱心なファンの間では アメリカの伝説的ハードロックグループとして有名らしいです。

A-1に『ウィ・アー・ザ・グッド・ラッツ』という曲が入っていることから もわかるようにこのアルバムは彼らのデビュー作です。 グランド・ファンク・レイルロードの『ウィ・アー・アン・アメリカン バンド』とかクリエイションの『ウィ・アー・ペインターマン』とか、 あとU.S.A.フォーアフリカの『ウィ・アー・ザ・ワールド』はちょっと 違いますが、並みいる『ウィ・アー』シリーズの中でも、彼らのA-1は それなりに上位にランクされそうな迫力のあるナンバーです。 (注意:『ウィ・アー』シリーズとは今私が作ったものです。)

フェード・アウトしながら終わるこのA-1は、そのフェード・アウトが 始まるとなぜかバイクのエンジンが吹かされはじめ、それと同時に巻き 舌のヴォーカルが『ルゥアアアッツッ・・、ルゥアアアッツッ・・、 ルゥアアアッツッ・・(ラッツです、念のため)』とわけのわからない 連呼で、怒濤無比のA-2へのイントロダクションとなっていきます。

そしてA-2。ひずみの多いUSヘヴィーロックの中でも特筆すべきもので、 これぞまさしく『ひずみの美学』ならぬ『ねずみの美学』・・。 とにかく勢いがすごいのです。 整備不良のままのビッグサンダーマウンテンに手放しで乗ってそのまま 悲鳴と絶叫とともに落下していくような凄まじさで、まさにロック界の ひよどり越えといった様相。曲が短いのが玉にキズですが、イギリスの ジェリコの1stのA-1に比肩しうるドライヴ感を誇っています。

こういう音楽を聴く人というのは、アルバムのどの曲で昇りつめようかと 虎視眈々と様子を伺っているケースが多いと思いますが、そんな人には このA-2で昇りつめておくことを是非ともお薦めします。 なぜなら次の曲がここまでの様子を一変させるバラードになっていて、昇りつめるとかそんなどころではなくなってしまうからです。

なんとA-3の後半でヴォーカルが泣き出すんです!

それなりに心構えができている状態で聴けばそんなに驚かないんですが、初めて聴いたときはぶっとびましたね。まるでマイケル・コルリオーネが 久々にもとの奥さんのところに戻ったのに泣かれてしまった、みたいに 『うううう・・、しくしく・・、ゲッ・ゲッタウェー!』 (たのむぜおい)なんてやるもんですから、聴いている方は大変です。

昔、部屋に遊びに来た友達に『ええいっ、ひかえい、ひかえい。これぞ 必殺のUSヘヴィーの決定版なのであ〜る!』なんて啖呵をきってA-2を 聴かせ、A-2が終わってもついうっかりレコードをとめずにA-3まで いってしまって、啖呵を切った分だけマヌケなムードになった事も ありましたっけ・・・。

全体的な印象としてはデビューアルバムだけあってストライクとボールが はっきりしすぎといった感じですね。

それでもA-2のすごさは他の曲を我慢してあまりある破壊力なので、A-2 以外の時にうまく身を隠しておけば、うさ晴らしにはぴったりのアルバム です。彼らはこの後何枚かアルバムを出しているようですが、このA-2を超える ものはなかったように思います。ある意味このアルバムのA-3の号泣で 終わってしまったバンドなのかもしれません(?)

(2004.05.30)