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第148回 MOTT THE HOOPLE "Mott"

MOTT THE HOOPLE- "Mott"
1973 UK CBS 69038
(Hard Rock)

RARE:★★★

Member : 

Ian Hunter(vo,key), Mick Ralphs(vo,g),
Overend Watts(b), Dale Buffin Griffin(ds), Andy Mackay(sax)


Side (A)
1. All The Way From Memphis
2. Whizz Kids
3. Hymn For The Dudes
4. Honaloochie Boogie
5. Violence


Side (B)
1. Drivin' Sister
2. Ballads Of Mott The Hoople
3. I'm A Cadillac/El Camino Dolo Roso
4. I Wish I Was Your Mother


68年に結成され、アイランドレーベルから4枚のLPを発表するも鳴かず 飛ばずに終わるのですが、デビッド・ボウイの助力を得て、見事に蘇生。 70年代グラムロックの雄として未だに崇拝されているグループです。

アイランドからの4作を発表した後、デビッド・ボウイから『All The Young Dudes(すべての若き野郎ども)』(いつ聞いてもすごい邦題だ な・・)をプレゼントされ、それを収録したCBS移籍第一弾が世界的な ヒットとなります。ある意味、このアルバムが彼らの分岐点となっていて、このアルバムの 前のアイランドの4枚と、この後の作品ではかなりカラーが違ってきます。

初期の4枚は正統派ブリティッシュ・ロックで、ハードロック系の ファンをも黙らせることのできる優れた作品で、特に4枚目の『Brain Capers(『ロックの王道を行け!』NO.18)はセールスこそひどかったものの、内容は抜群。ブリティッシュ・ロック・ファンには是非とも聴いてもらいたい一枚です。

さて、今回ご紹介するのは分岐点となった5枚目『All The Young Dudes』 の次に発表されたアルバムで、グラムそのものだった『All The〜』と、 初期のゴリゴリ系音が見事にブレンドされた音は、前々作と甲乙つけがたい傑作アルバムに仕上がりました。邦題は『革命』。

有名になるとか成功するということはこれほどまでに人の心にゆとりを もたらすものなのかと思うほど、ゆったりとした奥行きの深さを感じさせ てくれる作品となっています。A-1のアメリカ南部を思わせる躍動的なピアノの音色は、それでいて、ブリティッシュ・ロックの持つ荘厳さも失っていない不思議な響きで、イアン・ハンターのヴォーカルも最高に近く、またミック・ラルフスのギターも油の乗りきった大トロのようで、文句なしにカッコいいのです。

A面はイアン・ハンターの歌声とミック・ラルフスのギターがユニゾンで 迫る場面が数多くあり、これはこの二人にしかできない絶妙のブレンドで、もう背中がゾクゾクしてきます。A面全体はほぼ完璧と言っていい内容で、涙の名バラッドA-3やロックン ロールの名曲A-4等充実しまくり。A-4なんてお酒飲んで聴いたら大変です。大声で歌ってしまうこと必至。真田広之のお酒のCMじゃないですが、 『ノリノリどすなあ』(ちょっと古い?)と言われるくらいノリノリです。

ロックを長年聴いてきた耳の肥えた人から、血の気の多い若いハード ロックファンまで多くの人たちを納得させるに違いない、ブリティッ シュ・ロックの真実がここにあります。

そしてB面ラスト。これがまた泣けるんですう。『最後まで泣かせ やがて、もう!』っていってアルバムは幕を閉じるのでした。

まあしかし、よっぽどバンドの状態がよくないとこういう作品は作れない んだろうなと思います。 デビッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』もかっこいいけど、私は やっぱりモット・ザ・フープルの方が好きかなあ・・・。

(2004.04.20)