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第138回 PINK FLOYD "The Piper At The Gates Of Dawn"

PINK FLOYD - "The Piper At The Gates Of Dawn"
1967 UK COLUMBIA SX6157
(Psychedelic Rock)

RARE:

Member : 

Syd Barrett(g,vo), Roger Waters(b,vo), Rick Wright(key),
Nicky Mason(ds)


Side (A)
1. Astronomy Domine
2. Lucifer Sam
3. Matilda Mother
4. Flaming
5. Pow R.Toc H.
6. Take Up Thy Stethoscope And Walk


Side (B)
1. Interstellar Overdrive
2. The Gnome
3. Chapter 24
4. The Scarecrow
5. Bike


コアなプログレファンから一般的な洋楽愛好家(←なんだこの言葉は?) まで広くその名を知られているビッグネーム、ピンクフロイド

とかくピンクフロイドというグループは他のジャンルの音楽の人たちから プログレが攻撃されるときに真っ先に槍玉にあげられることが多く、特に パンクロック系の方々からは必ずといっていいほど『プログレは眠くなる でかんわ。特にピンクフロイドとか』と言われていました。

かく言う私も昔ハードロックしか聴いていなかった頃は『オレはピンク フロイドより断然フリジドピンクFRIJID PINK)だな』なんて格好つけ てプログレファンを攻撃していたりしたものです。

私的にはピンクフロイドの作品の中では後期の『ウォール』あたりが 大作ながら、間延びもせず、迫力もあって、わかりやすくなかなか良いと 思うのですが、それ以外の作品はどうも難解な感じがしてダメなんですよ ね。『狂気』とかはどうも今ひとつしっくりきません。

でも、私を含めたそんな方々もフロイド(「ド」にアクセント)に対する 見方を一変させられるのはないかと思われるのが、今回ご紹介の アルバムです。(前置きが長くてスミマセン)

このアルバムにはプログレ臭が殆どなく、サイケデリックでアングラな ムードもたっぷりで、他の作品とは全く趣が異なるため、眠くなるとは 言われないはずです。もっとも、その分フロイドファンからは対象外扱い をされているようではありますが。

また当時は『サイケデリックの新鋭』、そして後になって『夜明けの 口笛吹き』という邦題に変ったエピソード付。邦題が二つあるのは、他に カルチャークラブの『冷たくしないで』と『君は完璧さ』くらいしか思い 出せません。私は『夜明けの口笛吹き』という邦題の方が好きです。 カルチャークラブの方は『冷たくしないで』の方です。

話がそれました。

このアルバムではフロイドの初期にしか参加していないシド・バレットSyd Barrett)が大いに活躍していて、なんとなく初期ローリング ストーンズブライアン・ジョーンズBrian Jones)を思い起こさせら れます。 アルバム全体を支配している不気味なムードがなんとも言えない魅力と なっていますが、特にA面は凄いです。シド・バレットが思いっきり 「クスリ」か何かをやって曲を作ったとしか思えないです。 こんなのフツウの人は絶対作れません。雰囲気抜群です。

特にA-2の妖しさと迫力には圧倒されます。エルサレムJERUSALEM)の A-4(←ご存知ですか?「ロックの王道を行け!」No.67参照)の 妖しさをもっと不気味にしたような感じで、東京から日帰りで大阪出張を 命じられてしまい、朝思いっきり早く起きて外がまだ暗い時なんかに聴く と雰囲気満点です。眼をつぶるとこうもりが飛んできそうです。 (こうもりは夕方ですが)

しかしジャケットもキてますねえ。 「クスリ」で酩酊していると、木が人に見えたりするとか聞いたことが ありますが、シド・バレットにはメンバーがこんな風に見えていたの かも知れませんね。

プログレファンの方よりもブリティッシュ・ロックの深淵な闇の世界に 魅力を感じている方には是非聴いて欲しい一枚です。


(2004.01.10)