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第133回 PROCOL HARUM "A Salty Dog"

PROCOL HARUM - "A Salty Dog"
1969 UK REGAL ZONOPHONE SLRZ1009
(Progressive Rock)

RARE:★★★

Member : 

Gary Brooker(vo,key), Matthew Fisher(key,vo),
David Knights(b), Barnie Wilson(ds), Robin Trower(g,vo)


Side (A)
1. A Salty Dog
2. The Milk Of Human Kindness
3. Too Much Betweens
4. The Devil Came From Kansan
5. Boredom


Side (B)
1. Jucy John Pink
2. Wreck Of The Hesperus
3. All This And More
4. Crucifiction Lane
5. Pilgrims Progress


10月31日、東京厚生年金会館へROCOL HARUMの来日公演行って参りまして、 今日はその興奮さめやらぬうちに・・・と言う訳でこのアルバムの ご紹介です。

もう60歳近くになるGary Brookerをはじめ、かなりの高齢になって いたので、どんな感じなのか想像もつかなかったのですが、予想以上に 充実した内容は、イタリアで観たCAMPO DI MARTEのステージに匹敵する 感動的でした。特にGary Brookerの声は衰えるどころか、さらに円熟味を 増して伸びやかでとっても素晴らしかったです。

客層もそれなりに年配の方々が多かったような感じでしたが、最近の 音楽にはこういう心に響くものが殆どない分、私をはじめみんなこういう のに飢えていたんじゃないかと思います。 ロックミュージックというとノリばかりが重視され、特にコンサートとも なれば最近では立つのが当たり前みたいな風潮になっていてそれは それで悪くはないのですが、こんな風に最初から最後まで座ってじっくり 楽しむっていうのもまた格別なものがあります。

彼らの音楽ってロックとかそういうものを超越したところに位置していて、 でもかといってプログレのような技巧的な分かりにくさもなく、じっくり 心に響いてくる英国音楽ですよね。

ステージのオープニングはずっと楽しみにしていた『Shine On Brightly』 で、これがかかった瞬間にお客さん全員が、自分の世界に閉じこもって いってしまったなあって感じがしました。

私がオリジナルを初めて聴いたのは80年代に入ってからなので、まだまだ 20年くらいしか経っていませんが、昔これをリアルタイムで聴いていた 方々はヘタすると35年(!)くらい聴いているわけで、なんかそういうの ってきっと何物にも代えがたいんでしょうねえ。あのメロディがかかって しまったら涙腺が耐えられるはずもありません!

そして『Grand Hotel』もオーケストラがないのにもかかわらず良かったし、 まさか演ると思ってなかった『Quite Rightly So(邦題:これが真実)』 もMatthew Fisherのキーボードが昔と全く同じ音色で良かったです。 そして『EXOTIC BIRDS AND FRUIT』からもあの名曲『As Strong As Samson (邦題:サムソンのように強く)』を違ったアレンジで披露して くれました。

でも今回のライブでのクライマックスはなんと言っても、今日タイトルに あげた、アルバムに収録されている『A Salty Dog』でししょう。 あのかもめの鳴き声まで忠実に再現したもので、もうイントロから終った 瞬間の最後の音が消えるまで、絶対に一音も聴き漏らすまいという聴衆の 意気込みが伝わってくるくらい静かになり、心の芯まで暖かくなる、 そんな名演でした。

これからもライブ活動を続けて欲しいなぁと強く思った次第です。

どのアルバムも本当に素晴らしいのですが、タイトルナンバーにあまりにも感動してしまったので、今日はこのアルバムを紹介しました。というか、 すっかりライブ・レポートになってしまいました・・・。ゴメンナサイ。


(2003.11.10)