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第132回 MARY HOPKIN "Earth Song Ocean Song"

MARY HOPKIN - "Earth Song Ocean Song"
1971 UK APPLE SAPCOR 21
(Folk Rock)

RARE:★★★

Member : 

Mary Hopkin(vo,g,harmonica), Kevin Peek(g),
Brian Daly(g), Ralph McTell(g), Dave Cousins(g,banjo),
Danny Thompson(b), Clive Antree(cello)


Side (A)
1. International
2. There's Got To Be More
3. Silver Birch
4. How Come The Sun
5. Earth Song


Side (B)
1. Martha
2. Streets Of London
3. The Wind
4. Water, Papers & Clay
5. Ocean Song


メアリー・ホプキンMARY HOPKIN)はビートルズポール・ マッカートニーに見出され、彼のバックアップのもとアップルレーベル から何枚かのヒット曲を放っています。

特に『悲しき天使』はそのそれっぽい邦題からもわかるように日本でも 大ヒットしたようで、曲を聴けば殆どの人が『ああ、この曲か』と いってしまうくらい有名な曲です。 先日NHK BSの60年代全米NO.1ヒット曲特集とか言う番組で、この曲の プロモビデオが流れた時には鼻からスパゲティが出てしまいましたが。

当時はその愛らしい容姿からアイドル系として売り出されていたようで、 そのためこの人のことはフィメールポップスとして片付けている人も多く、 ブリティッシュフィメールフォーク系のファンからは殆ど相手にされてい ない状態です。 人に『メアリー・ホプキンが好き。』というのになぜか恥ずかしさも 覚えてしまうような雰囲気があり、そんなことも彼女が誇り高き フォーク系の諸氏から不当な扱いを受けている一因かもしれません。

かくいう私もメアリー・ホプキンというのは名前だけは知っていても、 最初から対象外としてしまっていましたが、彼女に対する見方をがらりと 変えさせたのがこのアルバムです。 彼女の作品の中でもおそらく最もシリアスフォーク寄りの音で、 MELLOW CANDLEを聴いた後でも十分に聴ける、そんなアルバムだと思います。

昔、新日本プロレスUWFインターが東京ドームで5対5の激突をした ことがあり、その時に新日の選手の基礎体力の高さを痛感しましたが、 このアルバムも、そんな「基礎がしっかりしている人だからこそ出せる 味わい」みたいなのをたっぷり感じさせてくれます。

アップルからの1stアルバム、『ポストカード』あたりではまだ曲的に 今ひとつのものもありましたが、このアルバムは本当に素晴らしい 出来です。 ギャラガー&ライルの名曲A-1は、美しいメロディとと儚い歌声が絶品。 裏ジャケットのような静かな海と木漏れ日を想起させるような優しさで、 日曜の午後にまどろんで聴くにはうってつけのナンバー。 また、アルバム全般にところどころ挿入されているストリングスも さりげなくて柔らかい音色で、いい感じです。なぜか不思議な懐かしさを 感じてしまう、そんな佳曲ぞろいの名作です。

彼女はアップル以前にも母国ウェールズのレーベルからも何枚か シングルを発表していますが、そちらはウェールズ語ということもあり、 アップル時代よりもっと崇高な世界が広がっていて、必聴の作品揃いです。VALCAN'S HAMMERなんかを聴く前にはまずは押さえておきたい ブリティッシュフォークの逸品ですね。


(2003.10.30)