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第131回 RAINBOW "On Stage"

RAINBOW - "On Stage"
1976 UK POLYDOR 2490016
(Hard Rock)

RARE:

Member : 

Ritchie Blackmore(g), Ronnie James Dio(vo),
Cozy Powell(ds), Jimmy Bain(b), Tony Carey(key)


Side (A)
1. Kill The King
2. Man On The Silver Mountain
3. Blues
4. Starstruck

Side (B)
1. Catch The Rainbow


Side (C)
1. Mistreated




Side (D)
1. Sixteen Century Greensleeves
2. Still I'm Sad


昔々私がロック音楽を聴き始めた頃は、RAINBOWDEEP PURPLEを比べた 場合、伝説的な存在のDEEP PURPLEにくらべてRAINBOWという存在には 今ひとつ重みが感じられないような気がしていました。

それはその頃DEEP PURPLEが既に解散してしまっていてロックの歴史に なってしまっていたのに対し、RAINBOWがまだ現役だったということが ひとつの大きな理由だったように思います。例えて言えば、ジョー・ ディマジオサミー・ソーサではなんとなくジョー・ディマジオの方が 格が上という感覚というか。

人に好きな音楽を聞かれた時にはDEEP PURPLEと言っておけば大抵の人は だまらせることができるのですが、RAINBOWだと当時はその辺の若い子 たちも皆結構知っていたのでいまひとつ迫力に欠けるというのも一因 だったのかも知れません。

そんな話はさておき、そんなRAINBOWも解散してから20年近く経って 冷静に考えてみると、特に初期三頭政治(リッチー、ロニー、コージー) 時代なんかは内容的には実はDEEP PURPLEを超えているんじゃないかと 思う今日この頃です。 2ndアルバム『Rainbow Rising』の凄まじさも去ることながら、ここで 紹介する2枚組ライヴもそれにつぐ名盤となっています。 ニュースステーションのサッカー・コーナーで、「レインボウゴール」の 時にバックでかかるあの有名な『オーバー・ザ・レインボウ』のフレーズ (オズの魔法使いの『レインボウ・・レインボウ・・レインボウ・・!』 というアレです)も実はこのアルバムの冒頭から引用されているもの。 あのドラムスの音はCozy Powell(コージー・パウエル)なんですよねー。

そしてA-1は必殺中の必殺『キル・ザ・キング』です。 この曲は本当に凄いですね。ハードロック史に燦然と残る名曲で、三頭 政治の全ての魅力が凝縮されています。『Rainbow Rising』のB面が スタジオ曲の頂点なら、ライヴの頂点はこの曲です。

いや本当にもうメチャメチャかっこいいです。

余談ですが、このメンツのライヴ映像をNHKが『ヤング・ミュー ジック・ショー』(この番組タイトルも凄いんですが)で放映したものを、 私、ビデオで観たんです。とにかく凄いのが、なんと日本語字幕で歌詞が 出てる!『危ない!危ない!・・王を殺せ!』なあんて感じです。 調子はかなり狂います。

それからもうひとつ忘れてはならないのがB面の『Catch The Rainbow (虹をつかもう)』です。
これは1stアルバム『銀嶺の覇者』に収録されていた曲ですが、そちら では随分おとなしくて地味〜いな曲だったのが、ここでは大化け。 中日から移籍後爆発したタイガースの矢野状態です。

スタジオテイクとはもう全く別の曲と思ってもいいでしょう。 じっくり盛り上がっていくドラマティックな展開はハッキリ言って 『天国への階段』級。(ほんとかよ)イントロでお客さんが手拍子をする ので『なんで貴方達この曲がそんなに盛り上がることを知ってるの?』と それにも驚きです。

Ritchie Blackmore(リッチー・ブラックモア)のピッキングが肌触りの いい上質シルクのように繊細に響く静かな立ち上がりから、あのCarmine Appice(カーマイン・アピス)でさえ泣いて謝るんじゃないかと思って しまうCozy Powell(コージー・パウエル)のバスドラ連打、そして Ronnie James Dio(ロニー・ジェイムス・ディオ)一世一代の名唱が こだまするクライマックスまで、全身の血がたぎるような興奮を味わう ことができます。
DEEP PURPLEの『Child In Time』のライヴを完全に超えています。 (おいおいそれは言いすぎじゃ・・)グラハムボネット時代のプロモ 映像にしびれた人でも、この曲を聴くと『やっぱ、ロニーだよな。』と 痛感せざるを得ないでしょう。

ただひとつこのアルバムで残念なのは、チャイコフスキーの名曲 『1812年』をモチーフにしたCozy Powellのドラムソロが収録されて いないことです。もっともあれは映像でみないとその凄さが伝わらない かもしれませんが・・。ちなみにヤング・ミュージック・ショーでは放映 されたようです。

三頭政治時代のDVDが早く出てくれないかなと願ってやみません。


(2003.10.10)