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第130回 WARHORSE "Same Title"

WARHORSE - "Same Title"
1970 UK VERTIGO 6360 015
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★

Member : 

Ged Peck(g), Mac Poole(ds), Ashley Holt(vo),
Nick Simper(b), Frank Wilson(key)


Side (A)
1. Vulture Blood
2. No Chance
3. Burning
4. St Louis


Side (B)
1. Ritual
2. Solitude
3. Woman Of The Devil



ジャケットに描かれている、あのガリバー旅行記フウイヌムを連想 させる賢そうな馬がWARHORSEなんでしょうか。

WARHORSEというグループは、ブリティッシュプログレの虎の穴、 ヴァーティゴレーベルから70年という実においしい年にデビューした グループです。また、かのDEEP PURPLEの初代ベーシスト、ニック・ シンパーが結成したということもあってハードロックファンには それなりに認知度が高いようです。

ブリティッシュハードロックを探求していく過程に於いては、この辺の グループを無条件に経験しておくのが当たり前、みたいな風潮が私の 周りにはありまして、高田延彦がそうだったと言われているのですが、 いわば、身体を大きくしたい食の細いレスラーが、無理矢理ちゃんこ鍋を 腹いっぱい食べなければならない・・・、私がこのレコードをはじめて 聴いたのは、そんな状況での事でした。

正直言って、初めて聴いた時は、『ああ、ジャケット負けしてるな、 こりゃ。』というくらいの印象しか持たなかったんです。キーボードを 中心にハードな感じのことはやっているけど、バラードももうひとつ だし・・なんて思っていました。そして、更にこれを気に入った友人に、 いとも簡単に売ってしまうという愚行にまで及んでいました。

しかし、それから10年位を経て、もう一度これを聴く機会に恵まれた 時には、『なんてカッコイイんだろう!これはなんとしてでも買い戻さ なければ!』と、山下達郎さんのラジオ番組で「3年殺し※」という技が 近頃話題になっていましたが、まさに、そんな技を掛けられていたかの ような有様でした。(※3年前にかけられた技が3年間潜伏した後、 3年後に身体に効いて来て死んでしまうという技)

A-1はヘヴィなキーボードが活躍する作品で、最初だというのに、やや 疲れのみえるシャウト系のヴォーカルがなんともB級っぽいのですが、 後半の印象的なリフでのキーボードとギターのユニゾンがなかなか 昇天させてくれます。欲を言えばヴォーカルがもう少し強ければ言う事は ないのですが。

A-1が終るとベースとドラムスが静かに入ってきてA-2へと続くのですが、 このA-1とA-2の間(ま)が素晴らしく、このアルバムのハイライトと いっていいでしょう。 この間は長すぎず短過ぎず絶妙の長さで、そしてA-2イントロの入り方も 奥ゆかしくって、もう最高です。

『音のないところにこそ音がある。』と まるで孫子の兵法のようなことを思い知らされます。

B-2は極上のバラードと各方面でいわれていますが、個人的にはちょっと 脂身が多いかなという感じです。ヴォーカルがちょっと弱いせいかも 知れません。一方、演奏の方はひじょうに良い感じで、日曜の夕方に 逆光を浴びながらクルマでとろとろとドライブしている、そんな まどろんだ雰囲気を醸し出しています。

彼らはこの後もう一枚アルバムを発表。そちらはもう少しプログレ色が 薄れた内容となっていますが、ドライブ感は増しています。 いずれにしても2枚とも必聴です。