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第97回 VICTOR PERINO'S KINGDOM COME "No Man's Land"

VICTOR PERINO'S KINGDOM COME - "No Man's Land"
1975 ITALY PRIVATE
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★★★★★

Member : 

Victor Perino(vo,key,Mellotron), Paul Rogerson(vo,b),
David Christian(g), David Wild(ds), Jon Marc Laflotte(flute,g,vo),
Robert Mich(g), Edward Howlehan(ds), Herman Daldin(b)

 

Side (A)
1. Sun Set Sail
2. Demon Of Love
3. Empire Of Steel
4. Tru

 

Side (B)
1. Lady Of The Morning
2. Garden Of Death
3. Run Through Your Life
4. At Last A Crew
 


ARTHUR BROWN師匠のもとでKINGDOM COMEに参加していたVictor Perinoが75年に発売したヘヴィープログレッシヴロックの大傑作。
今でこそブート/再発により多くの人が耳にすることができるようになりましたが、それまでは幻の名作としてマニア垂涎のアルバムだったようです。
学生時代にずっと通いつめていた中古レコード屋さんで、このアルバムの再発を発売することになり、お客さんが次々とこのアルバムを買っていたので、『みんなが買うんだからオレも買わなきゃ。』という日本人根性丸だしで買った恥ずかしい(?)一枚です。
レコード通のようなすました顔をしていながら、結局のところ皆がイイというものを買うんかい、という感じでなんとも情けない話ですが、今となっては胸を張って『名盤』といえる内容なので、今日は胸を張って紹介したいと思います。

SF然とした強烈なジャケットアートを見ただけでは『もしかしたらピコピコ三流プログレなんでは!?』と冷や汗がたっぷり出ますが、内容の方はフルート/メロトロンがたっぷり入った実に本格的なサウンドです。
ARTHUR BROWNの本家KINGDOM COME同様にリズムボックスも使用していますが、内容でいえばはっきりいってこっちの方が上だと思います。

宇宙空間に飛び出していく機動戦士ガンダム(古い?)を思わせるような躍動感溢れるなA-1は、この手のサウンドの中では屈指の名曲といってもいいでしょう。
大々的にフィーチャーされたメロトロンが素晴らし過ぎます。
特に後半のソロの出だし部分でのメロトロンの入り方なんて、くたくたに疲れた身体で露天風呂につかったあの瞬間に感じる感覚と同じものを感じます。ふわあ、と身体にしみわたるあの感じが最高。

そして、これは力入ってるな、とうならせられるのが、A-3。
次から次へと上下左右、縦横無尽に目まぐるしく展開していく様は、8分という時間の長さを感じさせない充実した内容です。
楽しい晩餐とか楽しい飲み会ってついつい時間があっというまに過ぎていくものですが、この曲もそういう感じで、あっという間に8分間が過ぎていきます。
ハードロックファン、プログレファン全てを凌駕する力作で、あのイタリアのBIGLIETTO PER INFERNOの名曲に匹敵する内容です。
フルート、ドラムス、キーボード、ギターが一丸となって畳み掛けるところが特に圧巻で、イタリアンプログレの真骨頂といってもいいでしょう。また途中の静かなところのメロディも印象的で、入浴前に聴いたりすると、湯船につかっている間じゅうこの曲が頭から離れないということにもなり兼ねません。

こういう派手な作りで味付けの濃いアルバムって、ポークカツレツミラノ風みたいな感じで、一回食べると『ちょっとしばらくこういうのいいわ。』って感じになりがちなんですが、これは不思議なことにあんまり飽きが来ません。
購入後既に15年くらいたっていますが、今でもターンテーブルにのっかる機会の多いアルバムです。