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第96回 ALICE COOPER "Billion Dollar Babies"

ALICE COOPER - "Billion Dollar Babies"
1973 US WARNER BS2685
(Hard Rock)

RARE:★★

Member : 

Alice Cooper(vo), Michael Bruce(g,key), Dennis Dunaway(b),
Neal Smith(ds), Glen Buxton(g),

 

Side (A)
1. Hello Hooray
2. Raped And Freezin'
3. Elected
4. Billion Dollar Babies
5. Unfinished Sweet

 

Side (B)
1. No More Mr. Nice Guy
2. Generation Landslide
3. Sick Things
4. Mary Ann
5. I Love The Dead
 


前作は学校の勉強机と下着、そして今回はへび皮のサイフ、これを聞いてALICE COOPERの名前を思い浮かんだ方はなかなかのUSハードロック通でしょう! これ実はアルバムジャケットのことです。

変形ジャケットもここまでくると、なんと人を食ったというか、あきれるばかりですが、サイフ型の本作にはなんと巨大なお札がインサートとして付いているんですから、当時それを知らずに買って内ジャケを開けた人はさぞかしびっくりしたんじゃないかと思います。前作の勉強机も裏ジャケが『小学一年生』の付録のように工作ができるようになっていて、本当に机のように出来あがるんですよ。

私を含めて日本人には、そういうのと知って買ってもそこまでする人はなかなかいなさそうですが、アメリカのティーンエイジャー達なんかは、価値が落ちる!なんて考えずに、きっとガンガン机を組み立てていたんだろうなぁと思います。


ALICE COOPERAlice Cooper率いるアメリカのハードロックグループです。あのJeff BeckですらJEFF BECK GROUPってな感じで後ろに『GROUP』をつけていたのに、こちらは名前をそのままグループ名にしているくらいですからここで既に厚顔無恥ぶりがうかがえます。彼等はハードロックグループとはいえ、当時からかなりキワモノ扱いをされていたらしく、ヘビ等の小道具(?)を多用した事も影響したのか、どうも音楽性を正しく評価されていないような気がします。
このアルバム、音だけ聴けばかなり高水準のロックアルバムですし、実力的にはAEROSMITHと同等のレベルのグループだと思うんですが、内ジャケのメンバーの写真を見ると全然正統派でないので、ヘンな印象を持ってしまった人達がいても仕方がないか、とも思います。

 

私は観たことがないのですが、恐らく当時の彼等のステージは、前衛的な芝居でも観るような感覚だったのかもしれません。例えて言うなら、正統派なのに、マスクマンというだけでちょっと斜めに見られている獣神サンダーライガーのようなものなんでしょうか。

肝心の音の方は、ヴォーカルのAlice Cooperのユニークなダミ声が実に個性的で、イギリスのPINK FAIRIESあたりが持っている無尽蔵のパワーが放出されています。

 

彼等は69年にアルバムデビューし、ここで紹介するアルバムは通算6枚目にあたります。5作目の『School's Out』が有名ですが、サウンド面での充実ぶりを考えると、個人的にはこのアルバムが最高傑作だと思います。特にA-1はミドルテンポのナンバーながら、曲も良くエネルギーが満ち溢れていて、『よし、やってやるぜ。(何を?)』なんて気分にさせてくれます。余談ですが、B-1は野茂英雄の応援歌に使ったら良いんじゃないか、と思うんですが、この曲をご存知の方、如何でしょうか。

ハイライトはやはりタイトルナンバーで、ヴォーカルの掛け合いが素晴らしく、カラオケでやりたくなるくらい魅力的です。この曲もそういう派手な部分を置いといて演奏部分を冷静に聴いてみると、リズムセクションの実力者ぶりが伝わってきます。


くどいようですが、このグループは本当に見た目だけで判断できない典型的な例だと思います。
正統派ハードロックファンの方、機会があったら是非一度お試し下さい。