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第94回 CREAM "Wheels Of Fire"

CREAM - "Wheels Of Fire"
1968 UK POLYDOR 582/583 031/2
(Beat Rock)

RARE:

Member : 

Eric Clapton(g), Jack Bruce(b,vo), Ginger Baker(ds)

 

Side (A)
1. White Room
2. Sitting On Top Of The World
3. Passing The Time
4. As You Said

Side (B)
1. Pressed Rat And Wathog
2. Politician
3. Those Were The Days
4. Born Under A Bad Sign
5. Deserted Cities Of The Heart

 

Side (C)
1. Crossroads
2. Spoonful

Side (D)
1. Traintime
2. Toad
 

 
YARDBIRDS脱退後にEric Claptonが結成したブリティッシュブルースロックトリオ。
今更クドクドと説明することもないくらいの超有名グループですが、今改めて聴きなおしてみても更に新しい魅力が発見できるという、実に素晴らしいアルバムです。

まだ一介のブルースロックから脱皮しきれていない1stアルバムに較べて、2ndアルバム『カラフルクリーム(友人はこれをハラホレクリームと呼ぶ)』は各段に進歩したグレートな内容となっていてまた、ロックファンなら誰でも一度はあこがれたサイケデリックこの上ないジャケットもこの時代ならではのものです。

しかしながらスタジオ盤1枚とライヴ盤1枚の2枚組で発表された『クリームの素晴らしき世界』という邦題のつけられた本作3rdアルバムがやっぱり最高傑作ですね。
ライナーには、(当時のロックファンの間では『2枚組聴いた?』というのが合言葉だった。)とありますが、ホントかいなという気がしないでもありません。
久し振りに会った友人に『あ、そうそう、そういえばさあ、2枚組聴いた?』、『おい、いきなりだな。』なんて本当に言ってたんですかね。
まあ、真意の程は定かではありませんが、それくらいエポックメイキングな作品だったんでしょう。

名曲中の名曲、『White Room』のスケール感って40年近く経った今聴いても凄いと思います。
カラオケ屋さんにもあるくらい有名な曲ですが、『いとしのレイラ』程俗っぽくなく、それでいて印象的なこのメロディはなんといったら良いんでしょうか。
そしてこの曲で好きなのが2番と3番のギターの音色です。このギターによって曲の雰囲気が1番とはガラっと変わるんですが、このギター全然フツウのギターじゃなくって、なんか口でしゃべっているようなギターなんです。
この曲、高校生の時(80年代中盤)に私と友人の間で密かなブームとなっていて(←気持ち悪いっちゅうの)、この曲の2番と3番を聴く時は片方は歌詞を歌い、そしてもう片方はギターを歌う(ワッパッパパワオワオって感じです)、なんてことをよくやったもんです。
因みに私は『イエロータイガー、クロスインジャングル』のところのギターが死ぬほど好きです。

それからB-1の邦題『ねずみといのしし』。ここまでくると完全に邦題の勝利という気がします。
私のとある友人はこの曲を聴きながら『このヴォーカル、しゃべっとるだけだがね。』と鋭いことを言っていましたが、そうなんです、しゃべっているだけなんです。そのバックを素晴らしい演奏が淡々と進行していくんです。
それがどうしようもなくかっこいい。

この如何にも60年代然とした柔らかいヘヴィーな感覚って一体なんなんでしょうね。
70年代程油ギッシュでなく、かといって勿論軽いわけでもなく、なんとなくソフトでブルージーな感じが奥ゆかしささえ漂っていて我々30代にはとても聴きやすいです。
若い頃からおじいさん然としていたGinger Baker(今頃どうしているんでしょうか)のバタバタドラムスもさる事ながら、Jack Bruceのちょっと控えめな感じのジェントルなヴォーカルの味わい深さこそがクリームの真髄であ〜る、などと断言して筆を置きたいと思います。(酔っ払っとんのか)