BACK TO HOME

第93回 CAMEL "The Snow Goose"

CAMEL - "The Snow Goose"
1975 UK DERAM SKL-R 5207
(Progressive Rock)

RARE:

Member : 

Peter Bardens(key), Andy Latimer(g,flute), Andy Ward(ds),
Doug Ferguson(b)

 

Side (A)
1. The Great March
2. Rhayader
3. Rhayader Goes To Townl
4. Sanctuary
5. Fritha
6. The Snow Goose
7. Friendship
8. Migration
9. Rhayader Alone

 

Side (B)
1. Flight Of The Snow Goose
2. Prepearation
3. Dunkirk
4. Epitaph
5. Fritha Alone
6. La Princesse Perdue
7. The Great March
 


CAMELと言えばブリティッシュプログレ界でも1、2を争うメロウなサウンドで、GENESISなんかとおんなじような印象があるのですが、皆さんは如何でしょうか?
私ははっきり言ってこの手のサウンドってあんまり得意じゃなくって、もっとヘヴィープログレ系が好きなんですが、このアルバムだけはちょっと特別です。

このアルバム、ポール・ギャリコの小説『白雁』をモチーフとしたトータルコンセプトアルバムで、なんと全曲インストゥルメンタルなのです。この時点で『ボクはいいですわ..』という方がいらっしゃると思いますが、そう言う私も最初はそうでした。いくら演奏が素晴らしいと言っても歌の入ってないアルバムって結構辛いものがありませんか?

JEFF BECKの『Wird』なんかもまあ確かに名盤なんでしょうけど、私はやっぱりちゃんと歌の入ったJEFF BECK GROUPの方が好きです。歌の合間にギターソロが入るから歌も生きるし、演奏も生きるんだ!と、強い確信を持って生きてきた人でもありました。

ですが、そんな信念を持っていながらも、その信念を揺るがしてくれたのが、このアルバムとYMOの『Solid State Surviver』(テクノポリスライディーンの入っているやつ)の2枚なのです。
YMOの方は少し歌っぽい効果音も入っていてインストルゥメンタルというには少し無理があるかもしれませんが、こちらは正真正銘のインストルゥメンタル作品で咳ひとつ(?)入っていません。(でもコーラスは入っています。) なのに飽きることなく最後まで一気に聴かせる迫力があります。
ちょっと聴いたらついつい最後まで聴きたくなってしまう魅力とでもいいましょうか。

『ついつい最後まで』と言うのは何もレコードには限った話ではありません。

風呂に入ろうと思って着替えを手にしたまま、何気なくテレビを付けたら(付けるなよ)WOWOWでタイタニック(これは名作です!)をやっていて、気がついたらそのままの格好で最後まで3時間みてしまった..みたいな。

そんな哲学的な話(?)はさて置き、このアルバムの良さはやっぱり構成につきるでしょう。

普通これだけドラマティックな内容にするにはもっと凝った作りにするとか効果音をいれたりするとかありそうなものですが、この作品は最低限必要な楽器だけで非常に素朴な作りです。
A-1の最初の1音だけで水辺を思い起こさせてしまうってのが素晴らしい! 凄く視覚な印象の強いアルバムで、ごく自然に水辺とか空を連想させてくれるので不思議です。

これを聴くと『白雁』っていう小説、映画化の際には是非このアルバムをサントラにして頂きたいと思うのですが、原作が有ってサントラもあっての映像化ってケースはあるんでしょうか?
私が監督だったら・・・どっちも台無しですね。やっぱり止めておく事にします。