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第91回 EARTH&FIRE "Atrantis"

EARTH&FIRE - "Atrantis"
1973 HOLLAND POLYDOR 2925 013
(Progressive Rock)

RARE:★★

Member : 

Jerney Kaagman(vo), Ton v.d.Kleij(ds,vo), Hans Ziech(b),
Gerard Koerts(key,flute,vo), Chris Koerts(g,vo)

 

Side (A)
1. Prelude
2. Prologue
3. The Rise And Fall
4. Theme Of Atrantis
5. The Threat
6. Destruction
7. Epilogue

 

Side (B)
1. Maybe Tomorrow, Maybe Tonight
2. Interlude
3. Fanfare
4. Theme From Atrantis
5. Love, Please Close The Door
 

 

EARTH&FIREはオランダのプログレッシヴロックグループです。

オランダのグループではありながら、私はいつもブリティッッシュのRENAISSANCEと混同してしまうことが多いんですが、なんか雰囲気似てますよね。この2グループ。『よし、今日は車でEARTH&FIREでも聴くかっ。』って思っていたくせに車でかけてみたら実はRENAISSANCEでした、みたいな..。

そしてお約束の反応が『えっ?EARTH ウインド&FIREでしょ?』です。100人中96人はこう言います。96人中80人くらいはわざと聞き返していると私は思っていますが、このレスポンスに対して丁寧に答えるのは相当パワーがいります。まあ、機嫌が良ければ『そうそう、あの、「な・ま・むーぎ・なーま・たーまご」 っていうヤツね』ときちんとボケも入れるサービスまでできるのですが、体調の悪い時なんかはここで会話はお仕舞ですかね。

そんな話はさておき、このアルバムは彼らの3作目にあたるもので、1st〜3rdまではどれも素晴らしい内容の作品です。
1stアルバムはその変形ジャケットの美しさのために廃盤市場の高値の花となっていて、マニアの全神経はそちらに注がれているようです(?)が、内容的には2作目、3作目も1stに全くひけをとらない内容のアルバムだと思います。
ただ惜しむらくは1stアルバムに収められている『シーズン』が中途半端にヒットしてしまったため、世間一般では70年代ポップミュージックだと思われている傾向にあることでしょうか。
1stアルバムのあの曲は確かにポップ系ですが、他の曲なんかは結構強力なハードプログレで、ハード系ファンにも十分通用する内容だと思います。

そんな1stに比べるとこのアルバムはプログレ色が強く、ハードな面はやや後退しているのですが内容的にはもう熟れ熟れの果実のような甘味がたっぷりで、完熟メロンのような実に美味な味わいです。
俗世間で揉まれて疲れきった神経を癒してくれる究極のヒーリングミュージックだと思います。
曲も良く、気の強そうな女性ヴォーカルも最高で、それでいて展開もドラマティックと、言う事なしです。

A-1の出だしの哀愁たっぷりのギターソロでいったい何人の人が涙を流したことでしょうか。
メロディの勝利とでもいうような印象的なリフレインは、このアルバムのひとつのテーマとなって後半にも登場してきます。
そしてそのリフレインに続いて出てくる女性ヴォーカルは、1stではあんなに気が強そうだったのに、ここでは実にしっとりと歌い上げてくれます。

『アムステルダムの少年兵』という秀逸な邦題のついたトータル作の2ndアルバムもたいがい感動しましたが、このアルバムは更にそれを進化させたような良質のメロディと劇的な展開が本当に素晴らしい。
1stからこの3rdまでは絶対にレコード棚に順番に並んでいて欲しい、そんなアルバムです。