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第78回 TWENTY SIXTY SIX AND THEN "Reflection OnThe Future"

TWENTY SIXTY SIX AND THEN - "Reflection On The Future"
1972 GERMANY UNITEDARTISTS UAS 29 314
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★★★★★

Member : 

Veit Marvos(key,vo), Steve Robinson(key,vo), Geff Harrison(vo),
Gagey Mrozeck(g), Dieter Bauser(b), Konstantin Bommarius(ds)

 

Side (A)
1. At My Home
2. Autumn
3. Butterking

 

 

Side (B)
1. Reflection On The Future
2. How Would You Feel
 

 

ジャケットから受ける印象は、『スペースシンフォニックロック』と言った感じですが、実はこれがジャーマンアンダーグラウンドヘヴィーロックの中では忘れることのできない重要な作品です。オルガンが極端に前面に出ている点はORANGE PEELGIFTとの共通点も感じられますが、こちらの方がもう少し洗練されており、ドロドロのジャーマンというにはちょっと抵抗があるかな、という音です。

B級ジャーマンハードというと出だしはかっこいいんですが、気がつくとすぐにセコンドが乱入してぐしゃぐしゃになってしまった、こないだの小川×健介戦のようになってしまい、『ありゃりゃ..』という感じで針を上げてしまうことが多いのですが、そういう意味ではこのアルバムはぐしゃぐしゃにならないので、最後までじっくり聴くことができます。
特に曲構成もよく練られていて、ヘヴィプログレの醍醐味ともいうべき完成度の高いトータルコンセプトな作りが、通好みなサウンドであると言えるんじゃないでしょうか。

ヘヴィープログレというのは単なるハードロックとは訳が違って、所謂異種格闘技戦みたいなものですから、生半可な腕前の人達が演奏すると本当に目もあてられなくなりがちで、下手したら、昔バーリトゥードに出てあっさりやられたケンドー長崎みたいになってしまいますよね。それに較べるとこのグループはちゃんと練習を積んできているようでその演奏内容には卓越したものがあります。

ヴォーカルはTOAD1stの方です)並みの力量、ギター、オルガンともに相当程度のテクニシャンで、全く安心して聴いていられます。更にリズム隊も『喉が渇いても水を飲むのを我慢して、相当血反吐を吐くような練習を積んできたな、これは。』と、聴く人が聴けば、強い足腰を誇っているのが分るのではないでしょうか。

A-1の出だしの全員一丸となったところで既に脱帽状態になりますが、静と動のコントラストが面白いA-3なんかも彼らならでは、といったところです。

B-1のタイトルナンバー。これもまた素晴らしい。特にイントロのリズムのかっこよさなんて普通じゃなくって、ドラムスなんてもう反復横飛び60回という感じで横に走る感じが小気味良いです。またソリッドなギターもイイ感じですが、注目すべきは重厚なオルガンで、これがこのグループのサウンドの核となっています。

ハードロックグループのオルガンというとヘヴィー一辺倒なのが多い中、このグループのは、もう一皮むけている感じです。時にはFRUMPYの如く、また時にはJ.J.SAVARIN(変な略し方..)の如く、といった感じで変幻自在。なかなかツボを押さえた演奏です。途中ORANGE PEELのようにヘヴィーギターが延々とソロを奏でる場面もありますが、だんだんとスペースチックな展開になってきて、最後は落ちてゆくようなエンディングでここはドイツ的です。

そして最後の曲は一転してピアノをバックにした美しいバラードナンバー。これだけヘヴィーな濃いサウンドの後のバラードというのは、言ってみれば火鍋(知ってますか?)の後の杏仁豆腐みたいなもんで、割とありがちな手法なんですが、この曲のヴォーカルが実にセクシーでいい味をだしています。(男です、念のため)
男の私でさえゾクゾクきてしまうようなこの声は、もっと広く一般にキャーキャーいわれて(なんか価値ないな)然るべきじゃないかということを強く主張して今日はおしまいです。(?)