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第71 BECK, BOGERT & APPICE "Same Title"


BECK, BOGERT & APPICE - "Same Title"

1973 UK EPIC 65455
(Hard Rock)

RARE:

Member : 

Jeff Beck(g,vo), Tim Bogert(b,vo), Carmine Appice(ds,vo)

 

Side (A)
1. Black Cat Moan
2. Lady
3. Oh To Love You
4. Superstition

 

Side (B)
1. Sweet Sweet Surrender
2. Why Should I Care
3. Lose Myself With You
4. Livin' Alone
5. I'm So Proud

今更ながらですが、これ良いです。(あたりまえか)
マイナー系のハードロックアルバムを散々聴いてきてから、こういうアルバムを改めて聴きなおしてみると、やっぱり「断然モノが違うわ」ということを痛感せざるを得ません。

これを買った高校生当時というのは、ネームバリューだけでコロっといってしまうような年頃でしたら、「伝説の三大ギタリストの一人JEFF BECK最高のトリオ!」といわれたら、そりゃもうそれだけで大騒ぎで、「三大ギタリストだから絶対いいに違いないから好きにならなければならない、三大ギタリストだから絶対いいに違いないから好きにならなければならない。」とまるで念仏を唱えるようににして聴き続けていたアルバムです。

まあ今でこそ良さがわかるものでも、若い頃はなんだかよくわからなかったモノって結構ありますよね。
ZEPPELINのモビーディック(これは後半のソロが実はを手で叩いているんだって知るまではつまんねえなって思ってました)とか、ジンジャーベイカーのドラムソロとか、クリムゾンの宮殿のB面前半(これは今でもわかりません)とか。
クリムゾンの宮殿と言えば、私の高校時代の同級生はB面中盤の事を、「あの緊張感がたまらんで
かんわ。」と玄人っぽいことを言ってましたが、彼の顔をじっと見たら、見栄張ってます、とばかりに眼が
泳いでました。(多分、ムーンチャイルドが終ったら、宮殿のイントロまで飛ばしているクチ)
こういう訳のわからないものに限って、ライナーノーツとかミュージックライフ(なつかしーっ)とかで「これはとてつもなく凄いことなんだけど、所詮素人にはわかるまい」って感じで書かれているんですよね..。
(第一期UWFにもそういうところがありました)

話がそれましたが、このアルバム買った当時ってまわりの人間には「きみらにはわっからんだろぅ」みたいな顔してましたが、正直いうと実は当の本人が一番わかってなかったりするんです。
RAINBOWとかZEPPELINとかに較べると迫力にも欠けるし、同じJEFF BECKTruthあたりに較べると随分おとなしい感じで、コーラスワークもなんか甘ったるくて、ハードロックというにはちょっとどうかなという感じでした。
そんなに気に入っていたわけでもないのにも拘わらず、聴いた回数が多かったせいで、社会人になってからも「くわ〜、なっつかしい〜」って気分に浸るためだけに聴いているようなアルバムでした。

ところが、それを何回か繰り返しているうちに「うん?ちょっとまてよ。これは実は凄いんじゃないか」と漸く序盤のボディーブローが効いてきて「これはちょっと足にきたな」(何がじゃ)と。
特にA-2なんて切れ味抜群で、このトリオの最高作と呼んでも過言ではないでしょうか。
JEFF BECKのギターも例によって適度にタメが効いていて、もうこの方にしかできない入り方が最高です。
それにもましてかっこいいのがCARMINE APPICEのドラムスプレイです。どうやったらこんな風に演奏できるんだろうというような驚愕の演奏です。特にバスドラの必殺度はCozy Powellも土下座するくらい凄くって、本当は召使いの小人が何人かいて、彼らが一斉に叩いてるんじゃないかって思っちゃうくらいです。
でも、ゆったりしたメローな曲も甘さ加減が適度に良く、特にB-1、B-5なんて時と場合によっては泣き上戸になってしまうような哀愁たっぷりで、最近流行りの下手な癒し系よりもよっぽど癒し系なんじゃないでしょうか。

今回これを書くためにまた久し振りに聴いてみたのですが、更に感じるものが強くなっていて、年を重ねるごとに興奮度が高まっていく、食べ物で言えばまるでからすみ(これも昔はよくわからんかった)のようなアルバムで、涙もろいタイプの人は酒飲んで聴いたら大変なことになりますね。
昔、聴いたきりでその辺にほかってある方、日曜日の午前中(またそれか)にでも今一度聴きなおして見てください。