BACK TO HOME

第59回 OSANNA "Palepoli"


OSANNA - "Palepoli"
1973 ITALY FONIT CETRA LPX19
(Heavy Progressive Rock)

RARE:★★★

Member : 

Danilo Rustici(g), Lino Vairetti(vo), Elio D'anna(sax,flute),
Lello Brandi(b), Massimo Guarino(ds)

 

Side (A)
1. Oro Caldo
2. Stanza Citta

 

Side (B)
1. Animale Senza Respiro

イタリアのプログレシーンというのは国が狭いからなのか、シーンが狭いからなのか、特定の人達があちこちのグループに顔を出していることが多いようです。
このグループのギタリストのDanilo RusticiはあのCERVELLOのギタリストと兄弟にあたりますが、グループの関連図的にいうとむしろこちらの方が本体で、OSANNA(オザンナ)一派と日本のマニアの間では言われています。

イタリアのプログレはロックでありながらも芸術性を強く感じさせる作品が多く、それがこの国の音楽の魅力っとなっているのですが、ここで紹介するアルバムは芸術性を追求しながらもその表現方法が極端に濃い味付けとなっていて民族的な泥臭さを強く感じます。
地中海近辺の熱気漂う市場の雑踏の中、うねるような人ごみをかき分けながら進んでいく自分がいて、それを石造りの建物の中から妖しく見守っている不気味な人影がいて、しかも本人はそれに気付いていない、そんなヤバいムードです。
表面的な明るさとその裏にある暗黒の不気味さが見事に描かれていて、本当に面白いアルバムだと思います。
A面中間部での攻撃的なフルートの狂い咲きと、闇夜から響いてくるようなヘヴィなギター、そして皆既日食のようなメロトロンの暴発(洪水ではなくて暴発といった雰囲気なんです)、宗教的なヴォーカル等が一体となって異様な雰囲気を醸し出しています。
闇夜を切り裂いて突然優しげにささやきかける叙情的な歌も、却って不気味さに拍車をかけています。
そして静寂が訪れたかと思うと知らぬ間にあのイントロの市場に戻っていた、というA面の展開はもう白昼夢といってもいいでしょう。
見開きジャケットの内ジャケが内容そのものという感じなので、レビューを読むよりもそちらを見た方がイメージアップできるんじゃないかと思います。

このアルバムを聴くのは絶対に夏がお薦めで(勿論さわやかっていう意味じゃないです)、私も若い頃は土曜日の昼に味の濃い焼肉定食を近所の定食屋で食べて帰ってきた後、四畳半の部屋に戻って汗をかきながらクーラーもかけず(というかクーラーがなかっただけの話ですが)に聴くともう雰囲気抜群でしたね。
それでもって聴いているうちについつい午睡してしまい、A面の最後のところで余りの熱さに目を覚ましたら、汗びっしょりで具合が悪くなりそう、ということがよくありました。
こういう聴き方はBANCOでは絶対にできないもので、もしかしたらイタリアの中でもこのアルバムだけかも知れません。
そんな聴き方誰もしたくないかも知れませんが、サウナに行ったくらいの効果はあるかも知れないので、気が向いた方は是非トライしてみて下さい。