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第53 ALPHATAURUS "Same Title"


ALPHATAURUS - "Same Title"
1973 MAGMA MAGL 18001  
(Heavy Progressive Rock)

RARE:

Member : 

Pietro Pellegrin(key), Guido Wasserman(g), Giorgio Santandrea(ds),
Alfonso Olivia(b), Michele Bavaro(vo)

 

Side (A)
1. Peccato D'orgogio
2. Dopo L'uragano
3. Croma

 

 

Side (B)
1. La Mente Vola
2. Ombra Muta

 

80年代に熱狂的なブームとなったイタリアのプログレですが、最近ではどうなんでしょうか。
ここで紹介するALPHATAURUSはプログレとはいってもヘヴィプログレにあたるもので、BANCOの1st、BIGLIETTO PER INFERNO等と較べても全く遜色のない名盤です。

プログレとしてみた場合、その複雑に構築されたよく練られた曲構成、楽器の素材を活かした演奏等に思わず耳を奪われますが、ハードロックとしてみた場合はその適度にいきあたりばったりで粗野な雰囲気に魅力を感じます。
ヘヴィプログレッシヴロックという言葉をよく聞きますが、本当に彼らの音楽こそはヘヴィプログレッシヴロックと言えるんじゃないかと思います。

ジャケットに描かれた鳥型爆撃機は一体何を意味するのか良くわかりませんが、アルバム全体を通してこの不気味な鳥が飛んでいくような様子が見事に描かれています。
激しい部分は鳥の急降下のようでもあり、アコースティックで静かな部分は寒々しい雲の上のようでもあり、演奏技術ひとつで聴く者のイマジネーションをここまで刺激するものだろうかと一種の感動すら覚えます。
他のどのレコードにも全く類似性を感じさせない本当に不思議で個性的なサウンドは、芸術的な域に達しています。

アルバム全体の構成は大作を志向したものとなっていて、そういう点もプログレマニアにはたまらないところではないでしょうか。
本当にどの曲も実に個性的でかっこいいのですが、特にA-3でみせるスケールの大きなこの叙情的な展開に舌を巻かないプログレファンはいないんじゃないかと思います。

そしてもっとすごいのがB面。
『飛行』という邦題のついたB-1は本当何かが飛び立っていくような雰囲気抜群で、フェードインしながら曲は力強くそしてさりげなく進行していき、時折登場するフルートとビブラオンはまるで横風に吹かれながら旅立っていく渡り鳥を思わせます。
本当にこの曲は聴く度に勇気を与えてくれます。
もし自分が将来PRIDEのような大きな大会に出場するような機会があったら(ないない!)絶対この曲を入場テーマに使おうと、そんな風に思ってしまうとても心が高揚する曲です。

そしてB-2。これは完全にイってしまっています。
深く濃いギターがリズムを刻んでゆったりと始まるのですが、これまた深く哀しく乱れるヴォーカルに導かれてリズムセクション全体が一気に畳み掛けてくるところはもう最高。
目をつぶるとそこに浮かんでくるのは、鳥型爆撃機の絨毯爆撃。
絶対にクスリ(カタカナで書くところがミソです)をやってなければこんな演奏はできません。
言葉で伝えるのは難しいのですが、ZEPPELINの『幻惑されて』の盛り上がり部分で感じるあの感覚です。

とにかくプログレに少しでも魅力を感じたことにある人、いやイギリスのプログレを聴いて『プログレは眠くなるから..』と思った人、そんな人達全員に聴いてもらいたい音楽です。
オリジナルのイタリア盤のジャケットは3面開きになっているそうですが、スミマセン、私のはキングレコードの再発なんでその辺のことをお伝えできません。(くぅお〜っ)