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第47回
HIGH TIDE
"Sea Shanties"

HIGH TIDE - "Sea Shanties"
1969 UK LIBERTY LBS 83264 (Heavy Progressive Rock)

RARE: ★★★★

Member : Tony Hill(g,vo), Simon House(violin), Peter Pavli(b),
Roger Hadden(ds)
Side (A)
1. Futilist's Lament
2. Death Warmed Up
3. Pushed, But Not Forgotten
Side (B)
1. Walking Down Their Outlook
2. Missing Out
3. Nowhere

いつか紹介しなければいけないと思いつつ、遂にこのアルバムを紹介する時が来てしまいました。今私は非常に緊張(?)しております。

このアルバムはブリティッシュハードロックファンの間では既に伝説的な存在となっている作品で、史上最強の重さを誇っています。
プロレスでいうとハンセン・ブロディ組のようなもので、その凄まじさたるや、もうこんなに重たいロックというのは今後出てこないんじゃないか、というくらいのもので、関が原の合戦/応仁の乱といった感じの内容なのです。

この作品に出会ったのは、ハードロック一筋で通していた大学生の頃で既に相当ヘヴィなものをかなり聴きこんで鍛えられていた筈なのに、それでもこのアルバムは衝撃でした。
某中古レコード屋さんでこれを試聴した時には、曲をかけた瞬間にその時お店にいたお客さん全員(といっても2、3人)がこちらを振り返ってしまったというくらいのヘヴィなサウンドで、こんな凄いレコードを試聴させてもらっているという事だけで、ちょっとえらい気分になったりしたものです。
A-1の出だしの『ガガガ』という音を1秒聴いただけで、ベテラン(?)の人なら『あっ、これは...わかりました。す、す、すんませんでした。』と謝ること間違い無しです。
全体的にどの楽器も重いんですが、特にギターの音色がすごく、重爆撃機とかダンプカーとか地割れとかそんなイメージです。
ピックをグーで握って力を入れて弾くとこんな音になるのかも知れません。(すみません、意味わかんないですね..)

もうひとつこのグループで特筆すべきは、ハードロックのクセにヴァイオリニストがいるという点です。
ギターとドラムスがガンガンやっているバックで、独り狂喜乱舞しているかと思うと、突然ギターとユニゾンで迫ってきたりで、これも一筋縄ではいきません。

そしていよいよ恐怖のA-2...。
これはもうハードロックの頂点とも言っても過言ではないくらいの内容で、ヘヴィという意味においては間違いなく世界一です。
そのヘヴィさは、イギリスのANDROMEDALEAF HOUNDを遥かに凌ぎ、ドイツのNIGHT SUNとアメリカのSIR LORD BALTIMOREが束になってかろうじて張り合うことができるかも、というくらいの凄まじきものです。
このA-2はインストゥルメンタル作品となっているのですが、10分近くにわたって延々と繰り返し襲ってくる津波のような展開は、正にジャケットに描かれている地獄絵のようでもあります。

ハードロックファンの方で、このアルバムを聴いたことがないという方がいらっしゃったら、是非聴いていただきたいと思う反面、そんなに簡単には聴かずに最後までとっておいた方が良いんじゃないかとも思います。

因みに彼等はこの後、もう一枚アルバムを発表していますが、そちらはかなり趣きの異なるもっとプログレッシヴな内容となっており、CATAPILLAの2ndのような感じとなっています。