BACK TO HOME

第38回
QUATERMASS
"Same Title"

QUATERMASS - "Same Title"
1970 UK HARVEST SHVL 775 (Heavy Progressive Rock)

RARE:

Member : John Gustafson(vo,b), Pete Robinson(key), Mick Underwood(ds)
Side (A)
1. Entropy
2. Black Sheep Of The Family
3. Post War Saturday Echo

4. Good Lord Knows
5. Up On The Ground

Side (B)
1. Gemini
2. Make Up Your Mind
3. Laughin' Tackle

4. Entropy(Reprise)


70年代のブリティッシュロックの中でもヘヴィキーボードグループとして、かのATOMIC ROOSTERと並び称されるのが、このQUATERMASSです。
ATOMIC ROOSTERにはヘヴィーなギターが居ました(1st以外)が、こちらは純血のキーボードトリオとなっておりギターもいないので相当違った感じです。
オーケストラも導入されている関係で静と動のメリハリ(コントラストともいう)がはっきりしていて、静かな部分はヨーロッパの大聖堂(わかって言っとるんかね)を思わせるような荘厳な趣です。

A面の1曲目のイントロは、教会の外からこっそりミサを聴いているようななんとなく遠い雰囲気でハード系の方の眠りを誘いますが、そう思うのも束の間UFOの降下シーンのような音が静寂を破り2曲目に突入です。
かなり硬質(でもタイトじゃない)な感じのドラムスの音がひとしきりリズムを刻み終わると、一気にハモンドオルガンのリフ攻めが始まります。この辺の感じはなんとなくWARHORSEの1stのイントロを彷彿とさせます。
暗くて難しい大作という感じの中世ヨーロッパを舞台としたような映画(ジャンヌダルクとかそういうの)を観ているようです。
ヴォーカルの音処理もなかなか凝った感じで、マイクからやや距離を置いて歌っているような音でさらに神秘的なエコー処理もされているので、こちらとしても襟を正したくなってしまいます。

アルバム中最も叙情的なA-4は賛美歌のようです。キーボードには負けてられないぜと、オーケストラもここぞとばかりに盛り上がり、とても厳粛なムードです。
美しいA-4に続いてはじまるA-5は、この個性的なジャケットデザインに近い内容で、まさに大都会のビルの谷間を恐竜(多分プテラノドン)が急降下するかのようなスリル満点にドライヴするキーボードがカッコ良いのであります。

B-1はちょっと他の曲とは違う感じで、もっともスピーディーでハードなナンバーです。
ここでは、Peter Robinsonのキーボードが、ちぎっては投げちぎっては投げ状態で八面六臂の大活躍。
まるでトムとジェリーの戦闘シーンを見ているようで真剣に聴くと目が回ってきます。

B面ラストはオーケストラとバンドが程良く融合した大作で、途中ドラムソロも入っています。
このドラムソロもまた少し変わった味付けがされていて、前半部分は線香花火の最後の燃え方とリズムがそっくりです。
叩いている本人は絶対そんなことを意識してはいないと思いますが、私はいつもこれを聴く度にそう思ってしまいます。
パシッ..パシパシパシッ....パシッと不定期なところがそう思わせるのかもしれません。

ジャケットは先にも書いたように個性的な感じでカッコ良いのですが、内ジャケを開けるとメンバー3人の顔写真のアップになっています。
なぜか3人ともかなり不気味な顔つきで、これじゃあまるで死刑囚です。
初めて見た時は思わず『うわっ、こえぇぇ』と言ってしまいました。

バンドはこれ1枚で解散し、ベースのJohn Gustafsonはこの後ハードロックバンドHARDSTUFF(これがまたいいんですわ)に参加します。