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第35回
YARDBIRDS
"Live Yardbirds Featuring Jimmy Page"

YARDBIRDS - "Live Yardbirds Featuring Jimmy Page"
1968 UK EPIC(US PRESS) E30615 (Beat Rock)

RARE:

Member : Keith Relf(vo,harmonica), Jimmy Page(g), Chris Dreja(b),
Jim McCarty(ds)

Side (A)
1. The Train Kept A-Rollin'
2. You're Better Man Than I
3. I'm Confused
4. My Baby
Side (B)
1. Over Under Sideways Down
2. Drinking Muddy Water
3. Shapes Of Things
4. White Summer
5. I'm A Man

YARDBIRDSと言えば、ブリティッシュロック3大ギタリストを輩出したバンドとして有名なので、名前を聞いたことのある方はたくさんいらっしゃるかと思います。
彼等の作品では、Eric Claptonを擁したデビューアルバム『Five Live Yardbirds』、Jeff Beck/Eric Clapton時代のヒット曲を集めた『For Your Love』等が有名で、Jimmy Page時代のものはあまり紹介されることがありません。

Jeff Beckがバンドに在籍していた頃から、だんだんとメンバー同士の対立が激しくなりはじめ、Beckはそれが原因でバンドを去ることになるのですが、更にその後任としてJimmy Pageが参加してからはグループ内の雰囲気は最悪の状態になり、スタジオ盤の『Little Games』とこのライブを発表してバンドは解散してしまいます。

バンドの険悪な雰囲気とは裏腹に、Jimmy Page在籍時のYARDBIRDSのサウンドは、初期とは相当に違うアグレッシヴでハードな音になっていて、個人的には一番好きなアルバムです。
また、このライブではLED ZEPPELINの1STに収録されているブリティッシュハードロック永遠の名曲『Dazed And Confused』の原曲『I'm Confused』も含まれており、ZEPPELINデビューへの影響を気にしたJimmy Pageが、発売後にすぐ回収したといういわくつきのアルバムで、長い間コレクターズアイテムとして有名でした。
ジャケットも相当キています。良く分からない鳥が描かれていて、学生時代にこれを初めて見た私は『YARDBIRDSというのはこういう姿をした鳥なのか..なるほどな。』と妙に納得した記憶があります。
だって『YARDBIRDS』を直訳すると『にわとり』になるし、でも『にわとり』は確か『Chicken』だし...。

話がそれましたが、このアルバムに収録されている観客の拍手の音は、後で別の歓声(闘牛場の歓声)をかぶせたらしい(常套手段)のですが、これがなかなかうまくかぶせられていて白熱のライブ盤に仕上がっています。
A-1に針を落とすと、『△≠□※○(なんて言っているかわからない)..、The Yardbirds!!』という紹介に心臓がドキドキしますが、いきなり飛び出すギターのフレーズ。ん?こ、こ、これはどこかで聴いたフレーズ...!?そうです。あのZEPPELINの『Dazed And Confused』のサビの部分のカッコいいアレです。
そのフレーズに続いてドラムスがリズムを刻み出すと、Keith Relfのハーモニカが縦横無尽に宙を舞い始めます。
ロックファンなら誰でも耳にしたことのある永遠のリフレイン『Train Kept A-Rollin』。
これは70年代ロックのコピーバンドをやったことのある方なら殆どの方が知っているに違いないというくらいの名曲で、それほど難しくないリフはコピーしやすいのでついつい手を出すと、これが意外と雰囲気を出すのが難しく、ブリティッシュロックの奥深さを改めて思い知らされて自分の力に無さに打ちひしがれてしまう..そんな偉大な曲です。
この曲のオリジナルはアルバム『HAVING A RAVE UP』に収録されていますが、そっちはなんかロックンロールみたいでかっこよくありません。(言ってしまった...)
この曲で一番カッコ良いテイクは、ミケランジェロアントニオーニ監督の映画『欲望』に収められている『Stroll On』です。これはBeckPageがツインリードを演っているという事も去る事ながら、聴く者全員の鳥肌がたってしまうような雰囲気が凄く、これ1曲のためにサントラを買わなければならないくらい素晴らしい出来です。(映像も残されています)
今回のこのライブに収録されているテイクは、『Stroll On』には負けるかも知れませんが、スタジオ盤よりも全然カッコ良いですし、白熱度ではこれが一番です。本当にメンバー同士仲悪かったのかよ、と疑ってしまいたくなります。
この曲でのJimmy Pageのギターソロは、ZEPPELIN時代の二日酔いでふらふら弾いているようなまったり感があまりなく、若さ爆発という感じで全力で切りこんできます。
牛若丸が突然お屋敷の向こうから屋根の上を飛び越えて跳んでくるようなそんな登場の仕方で、鳥肌をこらえる事ができません。

その他には、スタジオ盤とはかなり異なるアレンジではありますが、中期の名曲A-2『You're Better Man Than I』がライブバージョンで聴くことができるというのもファンにとっては嬉しい限りです。
初めて聴いた時はイントロを聴いただけで『おほっ!!』と叫んでしまいまいした。
この曲でも他の曲同様Jimmy Pageが一人で大暴れしており、ワウワウを多用したヘヴィな感覚がとても魅力的で『ひとり70年代』といった感じです。

B-4はZEPPELINの1STに収録されている『Black Mountain Side』の原曲と言われていますが、どこがどう原曲なのか私にはよくわかりません。(ただどちらもアコースティックなだけじゃないか..)
でも曲としてはこちらの方が断然良いと思います。

先ほど書いたようにこのアルバムは発売後回収されたため、レア盤としてファンが血眼になって探していたものですが、80年代に本物そっくりの海賊盤が発売されたため、比較的誰もが手にし耳にすることができるようになりました。
余談になりますが、実は私、恥かしながらこのアルバムの海賊盤と本物の区別ができません。
誰かご存知の方、教えて下さい。