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第23回
IPE I LAZA
"Stizemo"

IPE I LAZA - "Stizemo"
1978 YUGOSLAVIA LJUBLIJANA LD0475 (Progressive Rock)

RARE: ★★★★★

Member : Gordana Ivandic(vo), Goran Kovacevic(vo), Vlatko Stefanovski(g),
Ipe Ivandic(ds), Zlatko Hold(b), Lazar Ristovski(key)

Side (A)
1. Noc U Paklu
2. Ko Sam Ja?
3. Intro-Mental
Side (B)
1. Poslije Svega
2. Top Hit Lista
3. Ljubav

すみません。突然ですがユーゴスラビアです。ひかないで下さい。
このアルバムはユーゴを代表するプログレッシヴロックグループBIJERO DUGMEのメンバーとSMAKのメンバーが78年に発表したセッション盤で、『イペ・イ・ラザ』と読みます。(『誰じゃ、そりゃあ!?』という感じでしょうか)

共産圏のプログレというとゲテモノのような気がして色眼鏡でご覧になる方もいらっしゃるかも知れませんが、このアルバムはELPを彷彿とさせるテクニカルなキーボードもたっぷりとフィーチャーされている、ちゃんとしたプログレッシヴロックです。
また、曲によってはハードロックっぽい事もやっています。
と、ここまでなら普通のプログレバンドとして片付けてしまうところですが、このレコードが注目される理由は実は女性ヴォーカルにあります。

全6曲のうち3曲は、この女性ヴォーカリストGORDANA IVANDIC(すみません、読めません)がリードヴォーカルをとっているのですが、その3曲たるや、どれもが天空高く昇り詰めてゆく夢をみているような心地を味わえるもので、スペインバスクのAMAIA ZUBILIA(アマイア・スピリア)とかそういうのが好きな人には自信を持ってお薦めできます。

欲をいえば少し残念なのが、男性ヴォーカルがワイルドに迫るギターガンガンのハードロックがB面2曲目の収録されている事です。
この曲だけをとってみればそんなに酷い出来ではないのですが、前後の曲が余りにも美しいので、『こんなん入れるんならインストゥロメンタルでも入れておいてもらった方がよっぽど良かったのに...』と思ってしまいます。
土曜日の夕方に『洗濯物取りこまな...』と思いながらも身体がいう事を効かなくて、よだれを垂らしてうたたねしかけた頃に、突如最後のお願い選挙カーが攻めてきたかのような(そこまでひどくないですが)そんな感じです。

でもそのつらい思いを我慢してこの曲を乗り越えると、我慢の甲斐あってこれぞフィメール音楽の最終到達地というような究極曲がB−3に待っています。
月並みな言い方ですが、正に『天使の歌声』とはこういうのを言うのでしょう。もう自分の肉体が魂から解脱(?)してしまったようなそんな浮遊感と陶酔感を充分堪能することができます。
並みいるブリティッシュフィメールもののフォーク系の名曲とも比肩しうる美しさで、個人的には世界で5本の指に入れたいくらいに素晴らしいものだと思います。
この後の彼女の活動は聞いたことがないのでわかりませんが、これ1枚で消えてしまっているとしたらとても残念です。
ジャケットの内袋に写真がついていますが、それを見た感じではプログレらしからぬなかなかキュートな容貌の女性です。