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第20回
STRAY
"Suicide"

STRAY - "Suicide"
1971 UK TRANSATLANTIC TRA233 (Hard Rock)

RARE: ★★

Member : Del Bromham (vo,g,key), Steve Gadd (vo), Richie Cole (ds),
Gary G.Giles (b)

Side (A)
1. Son Of The Father
2. Nature's Way
3. Where Do Our Children Belong
4. Jericho
Side (B)
1. Run Mister Run
2. Dearest Eloise
3. Do You Miss Me
4. Suicide

ブリティッシュフォークの名門レーベルとして名高いTransatlanticより『炎のストレイ』のキャッチコピーでデビューした彼等は、平均年齢が弱冠20才という若さも手伝って、従来の枠組みにとらわれない自由なHRを身上としていました。

変形ジャケットの1STアルバム、アコースティックなアプローチの3RDアルバムがよく紹介されているようですが、最高作はこの2NDアルバムだと思います。
彼等の場合、R&Bに根ざしておらず、かといってMAY BLITZほど革新的でもなく、ストレートなブリティッシュハードロックという事になるのでしょうが、ややメタリックな雰囲気も感じさせます。
ストレートとはいってもこのアルバムはどれも曲が良く、また曲の構成もよく工夫されているので飽きのこない内容だと思います。

A面1曲目はやまびこのようなヴォーカルの出だしで嫌が上にも期待が膨らみ、ギターが入ってくると一気に分厚い展開をみせてくれます。若いだけあってドライヴ感はばっちりです。
また、この曲の間奏部分では突然メロトロンが大々的にフィーチャーされていて、おおっとのけぞってしまうのですが、プログレ的なメロトロンではないのでLITTLE FREE ROCKを連想する方もいらっしゃるのではないかと思います。
ただ、こちらはトリオ編成でないので、その分音に厚みがあり、途中ギターがTHREE MAN ARMYのようにブレイクするところなんぞは申し分ないくらいにかっこいいです。

また、タイトルナンバーの『Suicide』も、途中の転調が暗黒的ななかなかの作品ですが、

ハイライトはA−4『Jericho』でしょう。
ギターとドラムスがイントロからジワジワと攻めてきて、ベースがうなりを上げて入ってくると後は怒涛のような内容です。
ヴォーカルもとても良い感じで、スピーディ&ドラマティックに展開する素晴らしい切れ味は70年代ブリティッシュハードの醍醐味です。

この後に発表される3RDも悪くはないのですが、このアルバム全体に漂っている妙にダークな雰囲気は3RDでは感じられなくなってしまうのが残念です。
ブリティッシュハードロックのアルバムの中では常に1ランク下の扱いをされており、またプレミアムもつかず完全にB級の烙印を押されてしまっているようですが、BUDGIEあたりと同等の評価を与えても良いのではないかと思います。