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第15回
NICHOLAS GREENWOOD
"Cold Cuts"

NICHOLAS GREENWOOD - "Cold Cuts"
1972 UK KINGDOM KVL9002 (Heavy Progressive Rock)

RARE: ★★★★★★★★★★

Member : Nicholas Greenwood(b,vo), Dick Heninghem(key), Eric Peachey(ds), Bunk Gardler(woodwinds), Bryn Howarth(g), Chris Pritchard(g)
Side (A)
1. A Sea Of Holy Pleasure - Part 1,2,3
2. Hope / Ambitions
3. Corruption
4. Lead Me On
5. Big Machine
Side (B)
1. Close The Doors
2. Melancholy
3. Images
4. Promised Land
5. Realization And Death

我らが教祖、ARTHUR BROWN大先生のCRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNでベースギターを担当していたNICHOLAS GREENWOODのユニット。
このアルバム発表後はKHANというバンドにもベースとして参加していたようです。

ロンドンのUFOクラブで活躍していたCRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNは、それ以降いくつかの素晴らしいグループに枝分かれしていく訳ですが(所謂ATOMIC ROOSTERファミリー)、CRAZY WORLDの持つあの血湧き肉踊る熱き魂を最も正統に受け継いでいるのが、このアルバムだと思います。
つまりCRAZY WORLDのアルバムからARTHUR BROWN氏が脱退して2NDアルバムを発表したら...といった感じの音を想像してもらえれば間違いないと思います。
ヘヴィで屈折率の高いサイケデリックな音が全体を支配していますが、アンダーグラウンドムードばっちりの70年代にしか絶対に存在しないような古めかしい歪んだ感じが最高です

A−1のイントロの水中深くに引きずり込まれるような"ゴボゴボゴボ.."という妖しい効果音が嫌が上にも雰囲気を盛り上げ、上品なピアノが静かに旋律を奏でます。
ところがその後に突如ハモンドオルガンが唸りをあげて一番前に出てきて、ドラムスがリズムを刻みはじめると『うわっ、これはまるでARTHUR BROWNのNIGHTMAREみたいじゃないか!』と既に何人かは卒倒してしまっているに違いありません。
また途中突然60年代風のヴァイオリン(CREATIONとかGUNみたいな感じの)が叙情的に登場してきたり、管楽器が登場したり、またATOMIC ROOSTERの1STを思わせるような曲も入っていたりで、なかなか一筋縄ではいかない屈折したアルバムであると言えます。(フルートも入ってます)
ただ、屈折とはいってもベースはヘヴィープログレなので前衛的な屈折はなく、リズムセクションは硬派ですから、ご心配は無用です。

本作のオリジナルUK盤は『えっ?桁間違ってない?』というくらいの驚異のプレミアムがついているコレクターズアイテムですが、このアルバムに到達する人というのは、もう既に相当凄いレコードを持っているでしょうから、耳はだいぶ肥えていると思います。
でもそんな人であってもきっと満足して頂けるような水準の作品だと思います。