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第10回
CATAPILLA
"Same Title"

CATAPILLA - "Same Title"
1970 UK VERTIGO 6360 029 (Heavy Progressive Rock)

RARE: ★★★★

Member : Anna Meek (vo), Robert Calvert(sax), Graham Wilson(g), Dave Taylor(b),
Thierry Rheinhardt(wood wind), Malcolm Frith(ds), Hugh Eaglestone(sax)

Side (A)
1. Naked Eyes
2. Tumble Weed
3. Promises
Side (B)
1. Embryonic Fusion

70年代に数多くの個性的なアーティストを世に送り出してきたヴァーティゴレーベル。
CLEAR BLUE SKY、MAY BLITZ、PATTO、GRACIOUS等、本当に変わったグループが多く、よくこれだけ個性的なバンドが色々と集まったものだ、と感心させられます。
そんな中でも特に個性的な部類に属する音楽性を有していたのが、このCATAPILLAではないでしょうか。

官能的なANNA MEEK(女です)のヴォーカルを中心に、全編COLOSSEUMばりのジャズ系のサックスが活躍する力作となっていますが、このアルバムの方向性を決めているのは実は豪快なリズムセクションかも知れません。
特にヘヴィーなベースとサックスがユニゾンでビシッと決めてくれるあたりは、ゾクっと来るものがあります。

個人的にいちばん気に入っているのがB−1で、これなんかは例えば真夏の暑い部屋の中で、冷房もかけずに電気を消して聴いていたりすると、この世の出来事とは思えないような摩訶不思議な時間を過ごせること間違いなしです。

圧倒的なパワーで押し捲る長い長い前奏の素晴らしさに、大抵の人はまず心を奪われる事と思います。
HR系の人はこれだけで『あっ、買います。買います。』と思わず言ってしまうことでしょう。
特にリズムチェンジするあたりのサビの部分では、思わず『おおお!』と感嘆の声をあげている貴方の顔が目に浮かんできます。

長い前奏でさんざんじらされたせいもあって、満を持して登場するANNA MEEKのヴォーカルは一線を越えてしまったような迫力に満ちています。
ハードな部分ではぶっきらぼうに喚き、静かな部分では優しく官能的に迫り、と大変押し引きのメリハリがきいていて、まるで女性版ARTHUR BROWNとでもいうべき表情豊かなヴォーカルです。
その後延々と繰り返されるサックスに導かれたリフレインが、聴いている者の身体に麻薬のようにじわじわと利いてきて、だんだんと意識が遠のいていき、ヴァーティゴの渦巻きの中に吸い込まれて深いところに落ちていく、そんな感じです。

この後彼らはメンバーチェンジを行ない、名作として名高い2ND『CHANGES』を発表する訳ですが、それに比べると、このデビューアルバムは全然洗練されていませんし、完成度という点でも劣っているのは否めませんが、逆にその荒々しさがまた逆に捨てがたい魅力でもあったりするのです。
1ST、2NDどちらもHRファン、プログレファンとも必聴です。