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第9回
HUMBLE PIE
"Rockin' The Fillmore"

HUMBLE PIE - "Rockin' The Fillmore"
1971 UK A&M AMLH63506 (Hard Rock)

RARE: ★★

Member : Steve Marriott(vo,g), Peter Frumpton(g,vo), Greg Ridley(b,vo),
Jerry Shirley(ds)

Side (A)
1. Four Day Creep
2. I'm Ready
3. Stone Cold Fever

Side (B)
1. I Walked On Gilded Splinters
Side (C)
1. Rolling Stone

Side (D)
1. Hallelujah (I Love Her So)
2. I Don't Need No Doctor

言わずと知れたブリティッシュロック史上最強のライヴアルバム。
『なぜ今更こんな有名な作品を?』と思われる方々もいらっしゃるかと思いますが、70年代初期のウルトラレアアイテムや重箱の隅をほじくるが如き自主製作盤等が次々とCD化され、巷に溢れる昨今に敢えて警鐘を鳴らす意味で本作を紹介したいと思います。(ちょっと偉そうですが..)

LED ZEPPELIN、DEEP PURPLE、BLACK SABBATH等はイギリスのみならず世界的に有名なので、日本でも知らない人は余りいないと思いますが、HUMBLE PIEを知らない人は意外と多いのではないでしょうか。
むしろ前身のSMALL FACESの方が有名で、HUMBLE PIEというと『えっ何?アップルパイ?』などと、しょうもないリアクションをされて終わるケースが殆どのようです。

HUMBLE PIEは全部で11枚(内2枚は再結成後)のアルバムを出しており、やや泥臭い初期、ハードロック追及の中期、ソウルフルな後期に大別されますが、本作は初期から中期への過渡期に発表されたもので、通算5枚目にあたる数少ない『本物のロック』です。
この後、ソロになり『FRUMPTON COMES ALIVE!』で一気にスターダムにのし上がるPETER FRUMPTONも、ここではまだハードロックのギタリストに徹しており、厚生大臣時代の菅直人のようでなかなか好感が持てます。

このグループの特徴はなんと言ってもSTEVE MARRIOTTの天下無双のヴォーカルに尽きるのではないかと思います。A面1曲目で切りこんでくるカッコ良さや、『こんなMC初めて聴ききました。』という『I'm Ready』での唄うような素晴らしいMCは筆舌に尽くし難いものがあります。
ただ、その有り余る才能とは裏腹に、生涯あまり納得のいくスタジオ盤を世に出すことなく悲劇の最期を遂げてしまったのは本当に残念でなりません。

後期のライヴ『EAT IT!』も、本作同様好き放題やっていて勿論必聴ではあるのですが、文句無しにカッコいい『Stone Cold Fever』や、結局のところ医者が要るのか要らないのか良く分からない(多分要る)けどノリノリで切れ味抜群の『I Don't Need No Doctor』等を含む本作が最高だと思います。
MAGMAのライヴなんかを聴く前に、まずは必聴すべき名作です。